第37話

数日後。


日本近世史の授業中、中井教授がプリントを配った。


そのプリントはレジュメではなかった。


ー史学科研修旅行参加者募集ー


夏休みに行われる、史学科だけの行事・研修旅行のチラシだ。


2泊3日で、いろいろ史跡をめぐる旅。自由参加だ。


プリントを見ると、今年度の行き先は佐賀。


“吉野ヶ里遺跡”の文字に、どこからか「おいぉーっ!」と歓声がわいた。


おそらく、考古学好きな人たちだろう。


あたし、考古学もちょっと興味あるし、吉野ヶ里は是非とも行ってみたい場所だ。


「ばっしー行く?」


聞いてみると、


「佐賀とかまぁ近いし、微妙…」


と、乗り気じゃないばっしー。


「あ、そっか。九州人は吉野ヶ里そんなに行きたい!って思う場所じゃないんやね」


大分出身のばっしーは、研修旅行先が佐賀って近いから、参加する気なさそう。


「君ら行くか?」


ともやくんが言う。


「あたし行きたいな。ともやくん行くん?」


あたしは聞いた。


「おぅ、史跡めぐりってすげー行ってみたかったんだ」


ともやくんは嬉しそう。


「3日めは福岡で、大宰府行くんだろ。これたまらんよな」


と、しずくちゃん。


古代史好きなしずくちゃんは、最終日に大宰府が入っているのが嬉しそう。


この研修旅行が、また新たな出会いを生むのだった。

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