タイムトラベル⑦(江戸長屋編1)

進藤 進

第1話 夜明け前に

「うぅ・・・」

揺れ動かす刺激に俺は呻いた。


「あんたぁ・・・」

薄闇の中、お前の声が響いている。


甘ったるい匂いに。

無意識に抱き寄せた。


「ち、ちょっと・・・」

戸惑う声を胸でギュッとした。


「もぅ・・・」

諦めたのか、嬉しそうな囁きが聞こえた。


温もりが心地良い。

お前もそうなのか、背中をギュッとする。


お前の匂いを吸い込みながら。

俺は、生きている実感を噛み締めていた。


ようやく出会えた歓びと。

離れてしまう不安で。


お前を。

抱きしめ続けるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る