ただオレらは生きるだけ。

まんぷく犬

第1話 彼女欲しくない?

「あのさ。」


「何だよ。」


「オレさ。」


「うん。」


「彼女欲しい。」


「へぇ。」


「彼女欲しい!」


「聞こえてんだよ。」


「反応しろよ!ニ!」


「その呼び方やめろよ。いい加減よ。」


「だってお前二階堂じゃん?だからニ。しかもオレが一番って名前だからイチとニでおさまりがいいだろ?」


「おさまりがいいって理由が分からねーよ。」


「まぁまぁ、そんなことよりなぁ?」


「そんなことよりじゃないんだけどな。」


「そんなことより。オレは彼女が欲しいんだよ!」


「………はぁ、彼女?どんな彼女だ?」


「可愛い彼女!」


「めちゃくちゃザックリしすぎだろ。他になんかないのかよ?」


「う~ん。やっぱり可愛い彼女が欲しい!」


「聞いてたか?タイプとかないのかって聞いてんだよ。」


「う~ん。う~ん。」


「じゃあさ。有名人なら誰に似てたらいいとかないのか?」


「有名人?」


「橋本○奈とか西野七○とか色んな顔があるだろ?」


「あー、そういうのはパスる。」


「そういうのってなんだよ。」


「有名人に似てたらちょっと胃もたれするんだよ。だからパスる。」


「知るかよ。ならどんな彼女がいいんだよ?」


「う~ん。う~ん。あ!分かった!」


「分かったのか?」


「うん!オレ、ミツバちゃんみたいな彼女が欲しい!」


「ミツバちゃん?」


「え?知らないの?ミツバちゃんだよ?オレと同じクラスのミツバちゃんだよ!」


「オレと同じクラスってお前とオレ同じクラスだろ。」


「うむ。だから知ってるだろ?そのミツバちゃんみたいな彼女が欲しい!欲しい!」


「………あのさぁ。1つ聞いていいか?」


「うん!」


「ミツバちゃんとお前って付き合ってなかったか?別れたのか?それとも付き合ってなかったのか?」


「え。彼女だよ?」


「は?」


「ミツバちゃんはオレの彼女。別れてないし付き合ってるぞ!」


「……………ちょっと待って。頭痛い……」


「どうした!どうした!病院行くか?」


「病院行くのはお前だろ。」


「ふにゃあ?」


「何じゃその声は。」


「病院行かないといけないなんておかしくなぁい?」


「………もういいわ。どうでもいいわ。」


「ニ。」


「あ?」


「お前も彼女つくれよ?」


「いるんだよ!オレも!」


「ふにゃあ?」


「………はぁ、もういい。黙れ。バカ。」


「何で怒るのぉ?おかしくなぁい?」


「もういい。黙れって。ネジハズレのバカが。」

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