【完結】JK天使にいじめられて天界転生! 〜ドM高校生、メイド喫茶のオーナーになる〜
Arare
第一章
天界転生記
第1話 堕天使なJK
5月の中旬、昼休みのことだった。ご飯を食べ終えた僕は、自分の窓際の机に戻り、差し込む陽射しに身を預けていた。あたたかな光が机いっぱいに広がり、ぽかぽかと心地よい。気づけば、瞼が重くなり始めて、少しうとうとし始めていた。
「おい、陰キャ、なにうとうとしてんだよ。」
耳元で突然の声が飛び込んできて、僕はハッと目を開けた。目の前には岡部莉愛と、その後ろに二人の女子が立っていた。岡部莉愛――学年トップの美少女にして、誰も逆らえない絶対的存在のギャル。金髪ロングに、カラフルなヘアピンが適当に留められていて、その乱雑さですら不思議と様になっている。ダークグレーのブレザーは袖口が少し乱れ、白いブラウスは第一ボタンが常に外れていて、ほんのり胸元が見える。そして短めのスカートに、日に焼けた生足を強調する白のルーズソックス。
彼女はまるで教室という舞台の中心にいる女王そのものだった。
「え?」
寝ぼけた顔のまま声を漏らすと、彼女たちはクスクスと笑い声を上げる。僕のマヌケな表情が余程ツボに入ったらしい。
「ねぇ、私のレモンティー買ってきた?」
莉愛がニヤニヤしながら訊ねてきた。その瞬間、僕はハッとした。忘れていた――今日は彼女のレモンティーを買い忘れてしまったのだ。
「ごめんなさい、買い忘れてました……」
消え入りそうな声でそう言うと、彼女の表情が一変した。
「おい、お前、なめてんの?」
そう言いながら彼女は僕の髪を掴み、顔をグイッと上げた。僕の視界に彼女の険しい表情と、キラリと光る目が飛び込んでくる。教室中の空気が一瞬にして凍りついた気がした。
「土下座しろ。」
彼女の一言に、僕は悔しさを噛み締めながら、机からゆっくりと降りた。そして、彼女の足元に頭をつけて
「すいません、すいません……!」
と泣きながら謝った。周りのクスクス笑いが耳に入る。恥ずかしい。情けない。けれど、僕は土下座をし続けた。
しかし、僕はドMなのである。
罵倒され、土下座させられるというこの状況に、どこか興奮を覚えてしまっている自分がいた。
頭を少しだけ上げると、彼女は僕の席に腰掛け、脚を組んでいた。スカートの裾から覗く太もも。その先にチラリと見えた黒のパンツに、僕の鼓動が跳ねる。
「……あぁ、天使だ。」
思わず呟いてしまった、その瞬間だった。
教室全体が突然、亀裂音を響かせたかと思うと、空間がぱりんと砕け散った。眩い光が差し込み、僕は目を細めながら立ち上がった。
困惑しながら光に目を慣らすと、周囲の景色が一変していた。荒廃した街の中に立つ僕。その中心には、透明な羽根を広げ、白い布を纏った美少女――莉愛が静かに浮かんでいた。
「これ……夢か?」
目の前の非現実に呆然としながら、僕は彼女を見つめる。いつもの莉愛とは違う、まるで神々しいほどの美しさを湛えたその姿に、言葉を失った。
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