第30話

「優と関わったのだってそういう魂胆なんじゃねえの?」



そんな台詞に、やっと顔をあげられた。



「ちが…っ」


「てかねーちょっと、優と高梨ちゃんとのカンケイ疑うとかナイんだけど。似合わなすぎ!」


「だあってしょうがねえだろ?見たんだから」



ちがう。かき消されてしまうような小さな声でしか言えないけど、本当にちがうの。


憧れて、気になる存在になって、小鳥遊くんと会って、話をして、もっと知って、好きになったのは、居場所になってもらいたかったからじゃない。



ねえ、小鳥遊くん。



わたしはきみといるのが、楽しくて、できれば覚めない夢であってほしかった。


ただ好きだから一緒にいたかっただけなの。

守りたかっただけなの。なのに、こんなことになってごめんね。




「カンケイならあるよ」




学校では聞いたことのない。低い声がした。


持ち主を見る前に肩を引き寄せられる。



頭が真っ白になった。



「高梨と会ってたのは、好きだからなんだけど。そんなにおかしいこと?」



真っ白な空間に、広がる、あってはならない言葉。好きな人の、声。



「え……」


「はあ?優、マジで言ってんの?」


「松木、もう二度と高梨にノート書かせんな。おまえべつに自分でできんだろ」


「ちょ、優、あの」



松木さんたちのことを無視して、スクールカーストの頂点にいた人気者の彼は、底辺にいたわたしを連れて教室を歩き出した。

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