第30話
「優と関わったのだってそういう魂胆なんじゃねえの?」
そんな台詞に、やっと顔をあげられた。
「ちが…っ」
「てかねーちょっと、優と高梨ちゃんとのカンケイ疑うとかナイんだけど。似合わなすぎ!」
「だあってしょうがねえだろ?見たんだから」
ちがう。かき消されてしまうような小さな声でしか言えないけど、本当にちがうの。
憧れて、気になる存在になって、小鳥遊くんと会って、話をして、もっと知って、好きになったのは、居場所になってもらいたかったからじゃない。
ねえ、小鳥遊くん。
わたしはきみといるのが、楽しくて、できれば覚めない夢であってほしかった。
ただ好きだから一緒にいたかっただけなの。
守りたかっただけなの。なのに、こんなことになってごめんね。
「カンケイならあるよ」
学校では聞いたことのない。低い声がした。
持ち主を見る前に肩を引き寄せられる。
頭が真っ白になった。
「高梨と会ってたのは、好きだからなんだけど。そんなにおかしいこと?」
真っ白な空間に、広がる、あってはならない言葉。好きな人の、声。
「え……」
「はあ?優、マジで言ってんの?」
「松木、もう二度と高梨にノート書かせんな。おまえべつに自分でできんだろ」
「ちょ、優、あの」
松木さんたちのことを無視して、スクールカーストの頂点にいた人気者の彼は、底辺にいたわたしを連れて教室を歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます