第24話

学校という空間の中に、いくつもの仕切りがあって、わたしたちは別の場所にいる。


小鳥遊くんがいるところはたくさんの人がいるけど、それは選ばれた人たち。



わたしがいるところはもしかしたら…ううん、きっと、わたしひとりだけしかいないんだと思う。


それでもよかった。


小鳥遊くんが築いてきたものを守れたらそれだけでよかった。


ただ、そこに少しだけあの夜の時間が存在しているのであれば、淋しい毎日にはいとも簡単に幸せが宿った。




「昨日の夜さ、明日から取り壊される遊園地であいつらが一緒にいるところを見たんだよ」




そんな話が教室に駆け巡ったのは、わたしが登校してきてすぐのことだった。



心臓が激しく音を立てる。背中が凍ったように冷たくなって、それなのに額に汗がにじむ。


小鳥遊くんはまだ来てない。


後ろのほうの席で、小鳥遊くんの取り巻きの内の一人がからかうように話している。



「優って浮いた話し聞かないと思ってたんだよな。めっちゃアヤシイじゃん」


「でもなんで高梨?」


「だよなー。案外地味専だったりして」



ゲラゲラと笑い声が生まれている。


人にうわさをされたのは初めてだった。それなのに、小鳥遊くんに迷惑をかけてしまうことになるなんて、つらい。だけど初めてでどうしたらいいのかわからない。

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