「和風ダークファンタジー×青春ラブロマンス」ともいうべき作品。主人公の久賀かざりは「鬼斬り」の家系に生まれ、鬼の血を引く者を斬る宿命にあります。一方、ヒロインの鬼崎はなびは鬼の血を引く少女で、力を抑えながらも普通の人間として生きたいと願っています。本作は彼らが異なる「種族」としての宿命に立ち向かいながら、愛を育んでいく過程を描いています。
かざりは剣を取ることを恐れていましたが、はなびを守るためにその恐れを克服し、勇気を持って立ち向かいます。はなびも鬼の血による苦しみを抱えつつ、周囲と支え合いながら自分の力を制御しようと努力します。二人の絆が深まっていく様子が青春の一ページを思わせ、応援したくなります。
文章からはキャラクターの心情や変化が自然に伝わってきます。和風ファンタジーとしての独特の世界観が鬼斬りや鬼の血といった要素を魅力的に引き立て、日常を通して二人の恋愛や成長が描かれます。
宿命を超えて愛を育んでいく二人の姿が、読後感を良くしてくれる作品です。