6:66

三十三八十六

1

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悪魔の数字

不吉な数字


【666】


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逢魔おうまとき


昼と夜が交差する時刻。

現在の夕方6時頃のこと。

魔物に出会う時間帯。

黄昏時ともいう。


黄昏時たそがれどきは“彼時かれどき”。

薄暗くなって人を識別しづらい時。

誰そ彼=「あなたは誰?」


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【 学校の七不思議】


闇の図書室は6:66に開かれ、愚か者を閉じ込める。脱出には “あの本” を見つける必要がある。


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強く肩を叩かれた。


「よっ!」


振り替えるとジャージ姿の大吾がいた。


「真人、もう読書感想文、出した?」


大吾に言われるまで完全に忘れてた。

次の月曜日に提出する課題だ。


「いや。お前は?」


「俺もまだ。あとで図書室行って本借りるつもり」


「何借りんの?」


「長い話とか絶対無理だから “10分で読めるコメディ” にする。真人は?」


「うーん……なんも考えてない」


「そっかぁー。まあ頑張れよ! 俺はこれから自分探しの旅に行ってくるぜ! じゃ!」


そう言うと大吾は走り去った。


「ただの体育だろバカ。じゃーな!」


大吾のやつとは小学生のころからの付き合いだ。よく笑うしいいやつだ。

イタズラをするとリアクションがバカでかくて本当にからかいがいがある。


そうだ、良いことを思い付いた。

借りると言ってた本に、あいつの好きな藤村愛の写真でも入れておくか。

ちょうど今月号のヤングセブンデーのグラビアが藤村愛だったし、破いて入れておいてやろう。


俺はロッカーに入れていた漫画雑誌のグラビアページを破いてノートに挟み、図書室に向かった。

大吾のやつ、次は体育だから早めに体育館に行くだろうし、図書室で鉢合わせることはないな。


図書室のドアを開けた。

数人の生徒がいた。

みんな静かに過ごしている。

早速あいつの言ってた本を探すことにした。

作者の名前はわからないけどオムニバスっぽいからその辺りのコーナーだろう。


「あった」


『10分で読めるコメディ』

パラパラとめくる。小さく吹き出した。

くだらない話ばかりだし、タイトルがまたあいつらしいな。


さて仕事だ。

周りを確認してノートからグラビアのページを取り出して、一ページめあたりに挟んだ。

よし、これでオッケー。

あいつ、どんな顔するかな。

想像するだけで笑いが込み上げてくる。


最後の授業のチャイムが鳴った。


「よお、真人! 帰ろーぜ」


大吾は至って普通だった。


「あれ? 図書室で本借りた?」


「家に似たようなのあったこと思い出したからそっち読むことにした。それになんとなく学校の七不思議を思い出してさ! 今日は図書室行くのやめた」


「なんだよその理由」


「俺、怖いの苦手だからさあ」


まじかよ。

先生にバレたら面倒だな。


「悪い、やること思い出したから先帰ってて」


「おーそうか。じゃあな!」


大吾と別れ、図書室に向かう。

六時には閉まるから急がないと。


腕時計を見る。五時半。

おかしいな。

教室を出たのは四時半ごろだったはず。

そんなにのんびりしてたか?


歩きながら他の教室内の時計を見た。

時計の針は六時を過ぎていた。


窓の外に目をやる。やけに暗い。

オレンジの空が黒に押し潰されかけている。漆黒の中には星は一つも見えない。

こんな空、初めて見た。

雨でも降るのかな。傘、持ってきてないな。


そんなことを考えているうちに図書室の前に着いた。

上がった息を整える。


ドアの取っ手に指をかけた。

少しスライドさせてみる。

良かった、まだ開いてた。

扉を開けて一歩足を踏み入れた。


次の瞬間、闇に包まれた。

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