俺が生活保護になった件

上山ナナイ

第1話 俺が生活保護になった件

私の名前は上山ナナイという。親から小さい頃から、虐待を受け、家事を全てやらされ、大人になったら、私の面倒を全て見ろと言われ、さらに学校の友達との縁も切られ、ぬすみをするような同級生と仲良くするように言われた。


とにかくこの状況をどうにかすべく、私は勉学に励んでいたのだが、時は就職氷河期のため、なかなか上手くいかず、非常勤の図書館の仕事しか見つからなかった。


親は毎日、私の部屋のドアを蹴り、

「この障害者が!お前なんてここで一生便所掃除でもしてろ!」

と言われ、私はこの朝からニワトリのようにうるさい母がいる日常が当たり前だと思い、ゲームなどをして、ゲームの世界で生きてきた。


家出をして、ついに親に殺すと言われ、110番の警察を呼んだ。


親は私を車に押しこみ、精神病院に行くことになった。

「ところでナナイちゃん。殺すからね」


病院に着くと、医者から一ヶ月以上の入院が必要と言われ、母親はこの世の終わりでも見ているかのような目になった。


病院での生活は楽しかった。まず、家では始終母親のニワトリのような叫び声が聞こえ、ドアを蹴る音がなく、まともな人間として扱われた。閉鎖病棟のため、親は入れない。


お菓子を食べながら、看護師さんの手伝いなどをして、しかしこれもあと一ヶ月かと思っていたのだが、二ヶ月、三ヶ月と続き、半年ほど経ったあと、退院になった。



「元のナナイちゃんは、帰って来ないのですか?」


また親元へ帰るのか──。と思っていたら、医者が親元から離れた方がいいと判断し、ソーシャルワーカーが生活保護へとつないでくれた。


そこから、私の生活保護生活が始まった。

生活保護は家族や親戚に、保護ができないかとまず連絡が行く。一家の恥晒しにされる。

また、テレビでは、生活保護者は月に20万以上貰っていると、嘘ばかりだが、実際は11〜13万程度だ。


それでもあの親元ではなく、一人で生活出来るのは、天国のようなものだった。


まず、朝はラジオ体操をし、就労継続支援B型の作業場で仕事をし、親から料理の作り方は教わってないので、クックパッドで料理をする。正直親の料理より美味しい。親が今まで縁を切ってきた、本当に好きな人と付き合える。


これはある種の自由であった。


生活保護は叩かれがちだが、健康で文化的な最低限度の生活のはずなのに、生活保護を受けていても餓死で死ぬ人もいる。さらに生活保護のお金を減額したり、無料の医療がなくなると、それが健康で文化的な最低限度の生活の基準になるので、おそらく普通に働いているひとの給料も下がるだろう。つまりもっとお金が必要なのだ。


まず、生活保護以下の生活をしている人は、生活保護を受けられるので、受けた方がいい。ソーシャルワーカーに頼めばなんとかなると思う。


それはあなたの最後の手段になるかもしれないのだから。







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俺が生活保護になった件 上山ナナイ @nanai_tori

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