第24話 次の目標

(よし、このままゴブリンキングを引っ張っていってと)


 ゴブリンキングのヘイトが僕に向いたところで、集団から引き離すべく避難所セーフティーと反対の方へと移動する。キングにつられて数十匹のゴブリンもついてきたけど、まあいいだろう。


 ウガガガガガァァァァ


 ゴブリンキングのヘイトが切れないように、高度を落として飛ぶ僕。そのせいか、時折、キングの投石が飛んでくるけど危機察知のスキルを利用して避けていく。


(よし、この辺でいいかな)


 数百メートル離れたところで、僕はスイっと上昇した。


(いけ! ファイアーバレット!)


 上空からこちらにアホ面を向けているゴブリン達に向かって、炎の弾丸を連発でお見舞いしてやる。


 ドガガガガ!


 雨のように降り注ぐ炎の球を為す術もなく浴びるゴブリン達。しかし、その中でゴブリンキングだけは、近くにいたゴブリンを頭の上に掲げ盾にすることで被弾を防いでいた。


 他のゴブリンよりは賢いけど、仲間を犠牲にすることに抵抗はないようだ。キングとはいえ所詮は侵略者アグレサーということか。


 ファイアーバレットの連発で雑魚ゴブリンはあらかた片付いた。残るはゴブリンキングのみ。このまま遠距離攻撃で倒してもいいけど、逃げられたら面倒だから正面からぶち当たってやれ!


 僕は前方にストーンニードルを三本展開し、ゴブリンキング目指して飛ばした。それを目くらましに利用して、僕も石の槍について行く。


 ゴアァァァァァ、グワァ!?


 ゴブリンキングは手にした鉄の棒でストーンニードルを叩き落としたけど、僕の存在には気がついていなかったようだ。自慢の羽で右腕を切り落としてやった。


 さらに急旋回し、片腕を失って苦しんでいるゴブリンキングに突撃し、今度は左腕を切り落とした。ここまでくれば、もう挽回の余地はないだろう。最後は、防ぐ手段を失ったゴブリンキングに、ファイアーアローを三本お見舞いして倒すことができた。


(さて、こっちは片付いたけど向こうはどうだったのかな?)


 僕はゴブリン達から出た魔石を回収して、避難所セーフティーへと向かった。



 ▽▽▽



〈おーい、こっちは終わったけど、そっちはどうだった?〉


〈あっ、ミストだわん! オイラの大活躍でこっちも大丈夫だったわん!〉


 そんな調子のいいことを言ってたら、またルナに怒られるぞ?


〈ミストさん! まるのおかげで無事、家族と再会することができたにゃ!〉


 おや? 怒られるどころか褒められてるぞ? これは一体どうなってるんだ? まさか本当にまるが活躍したのか?


 ルナ今、飼い主さん達といるみたいだから、まるから話を聞こうと思う。僕は人間達に見られないように、上空から避難所セーフティーに侵入し、丸い建物のてっぺんに止まった。


 そこでまるから詳しい話を聞いたんだけど、今回は本当にまるのお手柄だったようだ。まさか他の犬や猫に侵略者アグレサーを倒させてレベルを上げさせるとは、よくとっさにそんなことが思いついたものだ。


 それに、そのレベルが上がった犬や猫達がこの避難所セーフティーの警護を担当することになったようだ。そして、まるとルナはこの犬猫大連合のボスの座に納まってしまったようだ。


 それにしても、動物たちがこんなにすぐレベルが上がるなら、人間達も同じことをすればいいのにと思ってしまった。そしたらもっと守護者ガーディアンが増えて楽になりそうなものだけど。


 でも、人間達がそこに気がつかないはずがないよね。もしかしたら、人間は侵略者アグレサーを倒してもレベルが上がる人と上がらない人がいるのかもしれないね。そう考えると、動物達の方がレベルが上がりやすいのかな。


 さて、ルナは大切な家族と再会することができたみたいだから、やっぱりここに残るのかな? まるもレベルが上がった犬達のボスになったみたいだし、ここに残るという選択肢もありだよね。


〈さて、僕はまたレベルを上げるためにダンジョンを探すつもりだけど、二人はどうするかな? ここに残るという選択肢もあると思うけど〉


 やっぱり一人旅は寂しいからか、ちょっと意地悪な聞き方になってしまった。普通にここに残るのを勧めるつもりだったのに……


〈何を言ってるんだわん! オイラはまだまだ強くならないとだめなんだわん! 一緒について行くわん!〉


 おお! まるとの旅はまだ続きそうだ。これは嬉しいね!


〈……あのゴブリンキングはミストさんがいなかったら勝てなかったにゃ。このままじゃ、わたしも大好きな家族を守ることができないにゃ。ここは弟子達に任せて、私ももっと強くなるために連れて行ってほしいのにゃ〉


 なんと!? ルナも一緒に来てくれるとは! かなり嬉しい誤算だ! また三人で旅を続けられるとは思っていなかった。でも、そうと決まれば僕も今まで以上に頑張らないとね。二人と一緒に強くなって、この地球から侵略者アグレサー達を追い出すんだ!


〈二人ともありがとう! また三人で旅ができるなんて嬉しいよ!〉


〈オイラもミストと旅するのは楽しいわん! それにミストがオイラを強くしてくれて感謝してるわん!〉


〈わたしもミストさんとの旅は、その、楽しいんだにゃ。それにミストさんは頼りがいがあるし……〉


 よかった。二人ともこんな姿の僕なのに受け入れてくれているみたいで。僕のやる気も上がったところで、次の目的地を決めないとね。


〈それじゃあ、次はどこへ行こうか?〉


 情報収集ができない僕は、二人が避難所セーフティーで何か情報を手に入れていないか聞いてみる。


〈そういえば、グンマってところにダンジョンがあるって聞いたわん!〉


 おお、群馬か。ここからなら割と近い方だね。よし、次は埼玉の様子を確認しながら、群馬へ向かうとしよう。


〈あの、群馬に向かうのは賛成なんだけど、出発は明日まで待って貰えないかにゃ? 今日一日、家族と一緒に過ごしたいのにゃ〉


〈それはもちろんオッケーだよ! まるもいいよね?〉


〈仕方ないわん! たっぷり甘えるといいわん!〉


 うんうん。まるの言う通り、今日は飼い主さん達と幸せな時間を過ごして欲しいと思う。


〈そうだ。せっかく時間があるなら、レベルが上がった二人の仲間達に、決していい人間を襲うことがないように言い聞かせておいて欲しい〉


 せっかく人間と協力して侵略者アグレサー達を追い出すチャンスなのに、人間と動物達で争っている場合じゃないからね。


〈任せるわん!〉


〈了解ですにゃ〉


 よし、僕も出発前に食料の調達でもしておこう。僕は近くの建物や畑、倉庫なんかを中心に食べられるものを探し回るのだった。

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