第12話 夢の国の廃墟①
ブラックウルフを倒した僕は、一つレベルが上がった。さすが格上の
〈さすがミストさんですわ。あの強そうなウルフを瞬殺ですにゃ〉
〈すごいわん! ミストはやっぱり強いわん!〉
無事だった二人が褒めてくれるのも嬉しい! でも、二人にももっとレベルを上げてもらって、あのくらいの
無事、強敵を倒した僕らは千葉県にある大型のテーマパーク、通称『夢の国』を目指して移動を再開した。
▽▽▽
成田空港から夢の国へは約六十キロメートル。レベルが上がり、ステータスも上がった彼らは自転車並みのスピードで走り続け、途中で
夢の国の正面入り口は、平和だった時はいつでも混雑していたはずなのに、今は閑散としている。ゲートや柵は壊され、ここで襲われた人達のであろう鞄や靴なども散乱している。
しかし、不思議と生き物の遺体などは落ちていない。これはあれか、
荒れ果てた夢の国に警戒心を強めながら、まるとルナはゲートをくぐる。僕は上空へと飛び立ち、生き残っている人や
園内はどこもかしこも破壊されていて、楽しそうだった夢の空間が見るも無惨になってしまっている。時折、地面にねずみの着ぐるみやあひるの着ぐるみが落ちているのが、僕をなんともいえない寂しい気持ちにさせた。
建物やアトラクションの内部は見ることができなかったが、ぱっと見た感じ生き残っている人を見つけることはできなかった。
園の上空を一周し、入り口に戻ってきたときにまるの叫び声が聞こえてきた。
「なんかでてきたわん!? テレビで見たことあるわん!」
どうやら周囲にある壊れた建物やアトラクションから、七人のこびとの着ぐるみが出てきたようだ。動きはぎこちなく、着ぐるみの中に人間が入っているとは思えない。
「あれは、ひょっとして何かが憑依してませんかにゃ?」
ああ、そうか。あれはレイス系の
「かじっても、ひっかいても効かないわん!? どうすればいいのかわん!?」
レイス系の
〈二人とも下がって! ファイアーボール!〉
念話で二人を着ぐるみ達から離れさせ、上空から火魔法をお見舞いしてやった。しかしこれ、なんだか戦闘機にでもなった気分だ。ちょっと楽しくなってきたぞ!
僕が放ったファイアーボールは、面白いように着ぐるみ達を燃やしていく。
〈うらやましいわん。おいらも魔法がつかいたいわん〉
〈まると同じ考えなのはしゃくだけど、わたしも魔法を使えるようになりたいにゃ〉
燃えさかる着ぐるみ達を見てまるとルナが呟く。うん、確かにこの先もっと強敵が現れるかもしれないと考えると、二人とも魔法が使えた方がいいよね。できるようになるかどうかはわからないけど、一応、使い方は教えておこう。
〈二人とも魔法を使いたいなら、意識しておくといいことを教えておくね〉
僕が二人に伝えると、すごく喜んでくれた。ぜひ、二人とも魔法を使えるようになってほしいものだ。
魔法はおそらくスキルを獲得しないと使えるようにはならないと思うけど、感覚さえ掴めればスキルが生えてくるかもしれないからね。できる範囲で伝えておこうと思う。
〈やるわん! 頑張るわん! 魔法を使いたいわん!〉
〈ありがとうござますにゃ。わたしは闇魔法に向いていると思うのですが、どうでしょうか?〉
何だろう、二人の返答に知的レベルの差が垣間見えたような……
とりあえずまるの背中にとまり、辺りを探索しながら魔力について説明していく。幸い、僕は魔力操作に慣れているので体内の魔力を操って二人に魔力を感じさせてみた。
「なんとなくわかるわん! これが魔力なのかわん!」
「わたしも魔力を感じることができましたにゃ。この魔力を意識し続けたら、魔法が使えるようになるのかにゃ?」
〈絶対とは言えないけど、その可能性は十分にあると思う〉
これはお世辞じゃなくて、まるもルナもきちんと魔力を感じ取っているし、もう少しで魔力を動かせるようになりそうな気がする。正確には動かすのは魔力の元となる魔素だと思うけど。
さて、練習しながらの移動ではあったけど、すぐに使えるようになるものではない。とりあえず、建物から現れるレイスが憑依したぬいぐるみ達を蹴散らしながら進む。
その途中で気がついたのだが、どうやら中央の城からだけは
「何か罠のような感じもするにゃ」
「そんなことないわん! ここは安全地帯だわん!」
相変わらず二人の意見は面白いくらい食い違う。慎重な性格のルナと、楽天的なまるだからしかたがないけどね。それより、ここが罠だとしても確認しないわけにはいかない。
僕らは大きな扉を押し開けて中へと入る。あれ? このお城って扉なんかあったっけ? ちょっとした違和感を感じつつ広間の中央へと進むと、突然、背後の扉が閉まった。
「!? やっぱり罠だったわん!? 閉じ込められたわん!?」
「落ち着きにゃさい。罠だとしてもわたし達は進むしかないんだにゃ」
〈その通り、ここにルナを世話してくれた家族がいるかもしれないんだ。たとえ罠だとしても、確認しないわけにはいかないよね〉
「……ありがとうですにゃ。ミストさん」
「オイラもわかってたわん! さあ、先に進むわん!」
まったく、まるは調子がいいんだから。だけど、おかげでしんみりしなくて済んだ。
さて、気を取り直して辺りを確認する。どうやらここはダンジョンになっているようで、今いるこの部屋はダンスホールのような大広間になっていて、中央の螺旋階段が上の階へと繋がっている。ここは外からの見た目同様、西洋のお城のような構造になっているようだ。それにしても、上の階へと上がっていくダンジョンとは珍しい。
しかし、ここがダンジョンであるなら慎重に進まなくてはいけない。ここにルナの家族がいたとしても、僕らが倒れてしまっては意味がない。しかも、ここに閉じ込められているとしたら、ボスを倒さないと出られない可能性だってある。
僕はそのことをまるとルナに伝えると、二人ともわかってくれたようだ。この階には
僕らはすぐに戦える準備をしながら、ゆっくり螺旋階段を上っていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます