第32話

多分私の言わんとしていることがわかったのだろう。




「親父はお前のことを心配して待っているよ。わかるだろう?

東征会の会長がこんな時でも気軽に動けないのをな。」




素直に首を縦に振る。




だけど例えパパが普通の人だったとしても、来てくれなかった



んじゃないかって。




思ってしまうのは今までが今までだったから。






「それと薫と律は俺の判断で置いて来た。事が事だったから。

万が一のことを考えて。」




瑞貴の綺麗な顔が黙って私を見つめる。




パパに一番良く似た顔で。





「お前も軽傷で済んだが万が一を考えれば薫はともかく律には

会いたくないだろうと思ってね。」

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