第16話

たとえ無関心な父親だったとしても、きちんと私は守られていたんだ。




下碑な笑みを浮かべる男達を見てつくづく思う。




厭らしく触れる手を払いのけたいけれど縛られているからどうにも出来なくて。




律意外に触れられるのならいっそ舌を噛んでしまおうかと考えているとき。



私に覆い被さって来た男はいきなり私の頬を叩く。






「悲鳴や声もあげないなんて、流石東征会の娘やって言いたいところやけどちょっと可愛げないとちゃうか?そんなんじゃ男がげんなりするもんや。」




引き裂くように破られたブラウスから見えた素肌に厭らしく舌を這わせる男の眼はどこか逝っていて焦点があっていない。




ああ、これって薬に手を出しているのか。




東征会も貴宮組も薬はご法度だから、やっぱりこの男はどこか別の組の男。

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