中学生の頃の私

第10話

傾国の美女と謳われた私の母はそれは

それは綺麗だったらしい。




「亡くなった姐さんに良く似ていらっしゃる。」




私を見る度に母を知る人達が感嘆するように

呟いていく。




男は眩しいものでも見るように女は嫉妬の炎を

チラつかせるように。



まだ年端もいかない私に母の面影を

重ね素通りしていくのだ。




私自身を見ずに。





珍しく近くにいる父親の無関心にも傷ついたけど

周囲の態度にはもっと傷ついた。





まだ中学に上がったばかりの私に豪華に誂えた振袖は

何だか不似合いな気がして。




大人ばかりの園遊会でただひたすら浮いていた。




それでも我慢出来たのは時々気遣ってくれる

瑞貴がいて律や薫がいたから。

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