第17話 夢喰らう"愚者"と記憶 其の七 『四季編α』Ⅲ
「さ~くや、"四季"寝ちゃった?」
「はい、四季はぐっすりと寝ていますよ。何かありましたか?」
「君たちに渡したい物があって来たんだよ。はいこれ、「"異変"」レーダー。名の通り説明は後でするよ。"四季"が起きたら書庫に来てね。」とスマホの形をした物を二つ受け取りテーブルに置く。
「書庫の場所は地下への階段があるからそこから行けるよ。」
「分かったわ、四季が起きたら一緒に行く。もう少しこのままでいたいからまだ時間かかるわよ。」
「なるほど、早速僕を置いて二人で楽しんでるね。咲夜はこの世界の前は何をしてたの?」
「私とあの人が居た世界はそれこそ争いが終わらない世界。自分の身は自分で守るのが基本で、私も数えきれないほどの罪を犯した、ただそれだけ。」
「だから君も戦闘狂なんだね。」
「失礼ね、無駄な戦闘は私だってしないわよ。」
「理解理解、じゃ僕は書庫に戻るから宜しく。」
「あっそうだ。多分あの人起きたらお腹空いたって言うと思うから軽くご飯作りたいんだけど食材とかある?」
「あるよ、好きに使って。ここにある冷蔵庫とかは勝手に食材が貯まるから尽きることはないよ。あと調理器具も沢山あるから。」
「分かったありがとう。それもリリアナの能力?」
「そうだよ。"完成"するまでは僕の好きにできる。」
「ねぇ、リリアナ。この"世界"はいつ完成するの?」
「それは分からない、でも僕達が欲を出しすぎると永遠に完成とはならない。だから妥協しつつ、ゆっくりいこう。」とリリアナは書庫に戻る。
「なかなか起きないわね。」四季が起きるまでほっぺをツンツンしているとまだ眠たそうに四季が言う。
「おはよう、咲夜。まだ寝てて良いか?」
「駄目です。起きてください。」
「分かったよ。少し寝たら腹減ったご飯作ってくれないか?」
「そう言うと思いましたよ。何作ります?」
「うーん、炒飯が良いな。」
「分かりました。いつものレシピで良いですか?」
「良いよ。」と咲夜はキッチンに向かった。そして俺は洗面台に行き顔を洗いに行く。するとキッチンの方から良い匂いがした。
「貴方、出来ましたよ。熱いから気をつけてくださいね。」
「お、サンキュ。」と熱々の炒飯をかきこむ。そして思ったことを言う。
「なんか、俺ら夫婦みたいだな。」
「何を言っているんですか、前の世界ではそうだったのに急に他人みたいなことを言わないでくださいよ。」
「ああ、すまんすまん。いやこの世界ではほらプロポーズとかしてないじゃん。だからふと思った。」
「何を言っているのか…。貴方ほっぺに込め粒ついてますよ。」と咲夜はほっぺについた込め粒を取り口に入れる。するとリビングの扉が開きリリアナが現れた。
「あのさあ、いくら何でも君たち遅すぎだよ。いつまで夫婦漫才やってんの。」
「いや夫婦漫才じゃねぇよ。」
「じゃあそれを何て言うのさあ?」
「ええと、日常?」
「咲夜もしっかりしてよ。完全にこの"世界"に溶け込んでるね。まあ良いけどさあ、咲夜を一人占めしないでね。」
「いや俺のもんじゃねぇけど、お前には貸さんよ。」
「そうですよ、いつから私はこの人のものになったんですか。」
「いや前の"世界"でもこの"世界"でも変わりなく君らイチャツいてるよね。」
「それは………………………………。」
「なんで二人でハモるの!、ほらもう許さん、咲夜を今夜ベッドに強制連行します。」
「えぇ、まあ良いですけど。まあ一晩くらいなら。」
「そうだな、一晩くらいなら構わん。」
「何で上から目線、もう早く食べきって書庫に来なさい!!」とリリアナは少し怒ったようにリビングから去り俺は急いで残りの炒飯を食べるのだった。
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