1-6

 日曜日、あの先生が突然やって来て


「昨日 実家に帰っててな これ 御土産 卵のキッシュ おいしいんだよー」


「えっ へぇー そんなの食べたことないよ いいの? ありがとう」


「うん まぁ イワナのお礼かなー」


「これっ 先生が作ったの? そんなわけないと思うけど・・・」


「実家のレストランの料理長特製さ 君に食べてもらいたくてナー」


「ふ~ん 先生って ちょっと どこか変わってるよねー」


「自分では 普通で平凡だと思うよ じゃぁー 明日の授業の予習があるからー」と、言って、さっさと帰って行った。


 私 早速 切った端切れを食べてみると おいしいぃー こんなの初めて食べたと感動していた。20㎝くらいの棒上のものが2つ。2センチ幅くらいに6切れ。3切れずつラップに包んで・・・3切れを庄爺のとこに持って行った。


「庄爺 居る?」


「あぁ すぐりちゃんかー そろそろ寒くなってきたので 布団をもう1枚 用意しとったんじゃ」


「そーだね 朝は冷え込んできたからねー あのね 知り合いから 珍しいものもらったの 少し レンジでチンすると ふわふわでおいしいと思うよ」


「そうかい じゃぁー 夜にでもな 昨日は炊き込みご飯を持ってきてくれたんじゃ うまかった 洗濯もして帰ってくれてな 紗栄子にはいつも こんな年寄にでも いろいろとな 世話になっていて 有難いと思っておるんじゃ」


 紗栄子というのは、私のお母さん そんな風に呼び捨てにするなんて・・・ 私は違和感を覚えていた。いつの日からなんだろう・・・気がついた時には、呼び捨てだった。


 洗濯ぅ・・・ 確かに縁側には洗濯物が干してあった。カーテンは引かれていたのだけど、その中に・・・隅のほうに、バラの花柄の透けたような生地で胸元と裾も豪華な白いレースで縁取られて裾が広がっているようなスリップドレスと赤いレース模様の小さな布切れのショーツのようなものがぶる下がっていた。


 えっ こんなのもお母さんが、洗濯していたの・・・男独りなのに、こんなのあるわけがない。だったら・・・お母さんのぉー???  ※ ※ ※ いくら、ウチの大家さんだからって、そこまで するぅ・・・してるの?


「すぐりちゃんも だんだんとお母さんに似てきれいになってきたのぉー 紗栄子はいい女だからのぉー」と、私を頭からつま先まで舐めるように見てきたのだ。


 私は、ぞぉーとして 飛び出してきた。(なんなのよー いゃーらしい 言い方 見る眼も エロ爺なのよ! お母さんのこと いい女だって・・・いゃーらしいのよ!) 私は、もう 行かないと決めていたのだけど、あの洗濯物・・・気になってた。お母さんなんでー・・・あんな、派手なの家でも身に着けているとこ、見たこと無いわー。それに、この辺りの男はみんな そんな眼でお母さんのこと見てるのかしらーと、嫌悪感を抱いていた。


 そして、おばぁさんの家にも持って行って、次の学校の休みの日には芋堀を手伝うことを約束してきた。


 私は、家に帰って、お母さんの下着を入れているタンスを開けてみた、奥のほうにあったファンシーケースを出し見ると、中から・・・ピンクで胸のところと裾がお花みたいにレースで飾られている短めのナイトウェア、バイオレットのレースのものとか、腰が紐になっているカラフルなショーツが何点かが入っていた。私には、刺激の強いものばっかり。やっぱり、お母さんはこんなのを・・・庄爺のとこで見たものはお母さんのなんだ。だから、夜 遅くでも出掛けていたの? 庄爺はいろいろと世話になっているって言っていたけど、そんなことまで・・・? なの?


 普段は、白とかグレーのシンプルなもんばっかりなのに・・・あの大家さんの為なのかしら・・・あんな好きでもない人の前で、こんなのを着て見せているのかしら・・・あのエロ爺を喜ばす為なの??? 無理やり??? お母さん 自分から??? もしかして お金の為??? ウチは貧乏だから・・・借金を返す為・・・?


 嫌よー お母さん そんなのー 不純よー そして 男と女の関係もあるのかしら ???


  

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