リトルウィッチ&ウィザード
ITSUKI
第1話
あたしはヨウコ。十三歳。将来は立派な魔女になること。得意魔法は、「光」。
長所は”勇気“だけは負けないくらいある。何があってもめげない所。
短所は、勉強が苦手。あたしは皆と違って魔法を上手く使いこなせない。
それで、魔法学園の中で、最も成績が悪い学生、と言われている。
はぁ…今日もだめだった…。
「どうしたの?ヨウちゃんまた居残り勉強?」
おっとりした優しい声が耳に入ってきた。
そこにいたのは、親友のルナだった。眼鏡をかけた金髪の女の子。いつもおっとりして優しい性格した、あたしの親友。得意魔法は「反射」。(敵の攻撃を跳ね返すことができる。)
「どうしよう…ルナ、今回の試験また不合格だった…どこがいけなかったのかな…」
どうして今あたしが居残りしているのか、事の発端は、今日の授業の出来事からだった。
「今日の授業の魔法内容は、花を咲かせる魔法です。自分の好きな花を想像して、魔法で咲かせる基礎魔法。」
相変わらずきりっとしていて厳しいアルマ先生。
ヨウコは、大きな綺麗な桜の木を、咲かせることにした。
今度こそ、先生や皆に凄い所を見せてやるんだ!
ヨウコは魔法の手袋をはめて、呪文を唱える。
ボワンッ!
本当に成功した!やっぱりあたしはやれば出来るんだ。
だが、クラスの皆は悲鳴をあげている。
なんと桜の木が見る見るうちに大きくなっていって、まるで本物の桜の木と同じ大きさになっていった。
先生は大慌てで巨大な桜の木を、元の芽に戻した。
そして先生は、あたしの所に近づいて来る
「ヨウコさん!魔法のコントロールが出来ていないみたいですね!こんな基礎魔法も出来ないようじゃ、立派な魔女になれませんよ。
出来るようになるまで、今日は居残りです!」
だから今こうして居残り勉強させられている訳。
「でも私はヨウコちゃんの魔法、すごく感動したわ。私だったら絶対合格!と思ったわ。」
ルナはいつまでもマイペースだ。
うぅ…全然フォローになってないよ~…このままじゃ、退学になるかもしれない…
「全く、二人して何を吞気に話しているの?」
突然後ろから女性の声が聞こえた。
あたしとルナは驚いて後ろを振り返る。
するとそこには、あたし達と同じクラスメイトのリリィ。スラッと背の高い、長引いた紫色のした髪。得意魔法は、「風」。とてもあたしと同じ学年とは思えない大人びた顔をしている。
どういう意味…?
「あんな大きな桜の木を、教室の中で咲かせるなんて、あなたはどんだけバカなのかしら?」
その言葉にヨウコはムッとした。
すると、リリィは更に、ヨウコに向かって話し出す。
「あら、私はただ、劣等生なアンタをフォローをしているだけよ?」
「ちょ、ちょっとリリィ、そんな言い方はひど過ぎるわ!」
ルナはリリィに注意をする。
だが、ヨウコは我慢の限界だった。
「劣等生だってッ⁉それのどこがフォローっていうのッ⁉ただあたしをバカにしているだけじゃない!」
ルナはその状況を見てただ慌てている。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いてぇ」
その次の一瞬、時が止まったかのように、しんと静まり返る。
もう嫌だ…!なんでこんなことを言われなきゃならないの?
「あっ⁉ヨウちゃん!待ってぇ…!」
ルナの声なんて全く耳に入っていなかった。
この場に居られなくなってしまい、気付いたら、教室から飛び出していた。
何で、皆にバカにされなきゃならないの⁉皆のように上手くなりたいのに…
気付いたらあたしは、教室…じゃなく、学校をとび出して、奥深い森に入ってしまっていた。
ヨウコの心は、抑えきれないほどの怒りがこみ上がってくるだけだった。
どうしよう…戻ろうにも全部同じ道でどう来たのか分からない…。
「そうだ、こんな時は箒で空を飛べばいいじゃん!」
その手があった、と指をパチンッと指を鳴らす。
ヨウコは手袋を取り出して両手にはめる。
「いでよ、箒!」
すると、ヨウコの手を伸ばした先から箒が出てきた。
ひょいっと箒にまたがって、飛び始めた。
すると、枯れ木が邪魔をし出す。
ヨウコは枯れ木に当たり、そのまま地面へ落ちてしまった。
「ダメだ…空を飛んで行けば、森から抜けられると思ったのに…」
——…にしても、この森って昔からこんなに不気味だったっけ?
ヨウコは改めて森を見返すと、辺りは暗くてジメジメしていて、気味が悪い。
木の幹の樹皮の部分に段々と不気味な顔に見えてきた。
この時ヨウコは、怖くて仕方なかった。
その時、後ろからガサガサと音がした。
「おや君、こんな奥深い森の中で、何をしているんだい?」
後ろを振り返ると、そこに現れたのは、ヨウコの兄のウィッシュだった。
兄のウィッシュは、白髪で白いスーツを着ていて、いつも爽やかな表情をしている。おまけに顔が整っていて高身長。あたしの兄妹だとは思えない…。一年前に学園を卒業した超エリート学生だった。本名はリュウセイ。得意魔法は、「星」(力が強すぎるあまり、普段は使わない。)
「お兄ちゃんこそ、こんな所で何しているの?」
「君が急に学校を飛び出した所を偶々見かけて、追いかけたんだ。ここは危険すぎる、ボクが出口を教えてあげるよ」
「ありがとう!」
丁度困っていたから助かった…!
ヨウコは一気に心が和らいだ。跡をついていくことにした。
だが、歩いても歩いても、まだ出口にたどり着かない。
日が暮れてきて、辺りはもう真っ暗。
「ねぇ…お兄ちゃん、本当にこの道であっているの?」
まさか、あんたも迷ったんじゃ……もう!こんな所、早く出たいのにッ…
しかし、ヨウコは男性に話しているのに、ずっと無言だった。
変に思ったヨウコはもう一度男性に問いかける。
「ちょっと!無視しないでよ!」
するとフードを被った男性は、突然止まりだした。
「き…急に何⁉」
すると兄のウィッシュは、突然ヨウコの腕をつかまれた。
壁ドンのように、木の方へと押し倒されたヨウコは、
「お…お兄ちゃん…?」
何だか兄の様子がおかしいと思った、次の瞬間——
「まさか、こんな簡単に騙されるなんて、君はバカだねェ!」
「⁉」
お兄ちゃんの声じゃない!
まさかの展開にヨウコは理解が追い付かない。
そう言えば、お兄ちゃんは学園を卒業しているのに、どうして教室であった出来事を知っていたの?
「今更もう遅いヨ☆」
兄の姿から、見知らぬ黒い男の子の姿に変わった。
ヨウコと同い年くらいの男の子で、クラウンの仮面を被っている謎の子だ。
「あ…あんた、誰?」
「アハハハハハ!ボクはライト。君と遊ぶの凄く楽しいヨ☆もっと遊ぼうヨ☆」
「あたしは全然楽しくない!」
ヨウコはそう言い張ると、ライトは黙り込む。
「ボクは友達がいなくて、ずっと一人だったんだヨ…だから君が初めてだったんダ…」
「そうだったんだ…それは、寂しかったね…」
「だから君も、ボクと一緒に行こうよ」
「え…?行こうって何処へ…?」
「君も、皆にバカにされてばかりで嫌だろう?」
「まさか…あたしをこんな所に連れて来させたのも、全部アンタの企みだったの⁈」
「ここへ来たのは、君の方からだろう?」
う…確かに、そうだけど…
「まぁいいや、この闇に染まった深淵の森。入ってしまったらもう二度と出られない。このまま君も、真っ暗な闇の世界へ…!」
嫌だッ!
ヨウコは捕まれた手を、思い切り振り下ろす。
この場から逃げようとしたが、枯れ木が勝手に動き出し、道をふさがれた。
そして木がヨウコの方へと襲い掛かってくる。
このままじゃ、捕まる…!誰か…助けてッ!
ヨウコは目を強く瞑って、手でガードをする。
しかし、何も攻撃してこない。
一体何が起きているのか、ヨウコは恐る恐る目を開けてみる。
すると、ヨウコの目の前には、綺麗に輝いた桜の咲いた木が生えていた。
周りの枯れ木は動揺している様子。
「な…何だこれは⁉」
ライトも混乱している様子だった。
「これ、今日の授業で生やした桜の木?もしかしてあたしがやったの?」まさかこんな所で役立つなんて…ビックリ…!
「やるねぇ、ヨウコ」
突然上から声が聞こえて、見てみると、ヨウコの前に現れたのは、今度こそ本物のお兄さん“ウィッシュ”の姿だった。
「お…お兄ちゃん…?どうしてあたしがここにいる事が分かったの?」今度は本物だよね…。
ヨウコはウィッシュに問いかける。
「最近、ここの森の様子がおかしいから見に行ったら、ヨウコが魔法で出した光輝いた桜の木が目印になってね」
「そうだったんだ…良かったぁ!」
ヨウコはヘタっと地面に座り込んでしまった。
「ここは一旦逃げようか。枯れ木が弱っている間に!」
ヨウコは頑張って立ち上がろうとするが、腰が抜けてしまって立てなくなってしまった。
「なぁ、行かないでくれヨ…ボクと一緒に行きたくないのか…?」
ライトは寂しい表情をしながら、ヨウコの方を見ている。
すると、
「僕の大事な妹に手出しをするな」
ウィッシュは普段あまり出さない怒った表情をしながら言う。
あんな表情をするなんて、ヨウコは驚いた。
そして、ウィッシュは箒を取り出して、ヒラッとまたがり、空を飛び、ヨウコと共に森を抜け出す。
何とか無事に出られたぁ!
ウィッシュはずっと黙り込んでいる。
顔を見ると、今まで見たことのない、険しい表情をしている。
気まずい状況。
「ご…ごめんなさい!危険な森に入るな、て言われていたのに入いちゃって…!」
「も…もしかして、怒ってる…?」
ヨウコは恐る恐る聞いてみる。
「あぁ、ごめん。今回の件で、ちょっといろいろ考え込んでいたんだよ」
「……そっか」
「でも、今回はヨウコの魔法のおかげで助かったんだ!謝る必要なんてない。」
「ホ…ホントに…!?やっぱあたしってやれば出来るんだ!」
「でも、あまり調子に乗るなよ?まだ完全倒した訳じゃない。またヤツはどこかで現れる。」
ヨウコは少し嬉しい気持ちもあるが、やはり今回の件は謎がいっぱいだ。
あのクラウンの仮面を被った謎の少年“ライト”ってヤツが何者かも分からない。
「あ、ヨウちゃ~ん!」
声が聞こえる方下を見ると、ルナ!そして、リリィ、そしてアルマ先生の姿が見えた。
「無事で良かったぁ!」
ルナはあたしに抱きついて来た。
「ヨウコさん、良くやりましたね。少しは見直しましたよ。」
いつも厳しいアルマ先生からも褒められた。
「もう!探したわよ!一体どこまでほっつき歩いていたのよ」
リリィの言い方にヨウコはムッとした。
「探したわよ、じゃないよ!あんたのせいだよ!あたしにあんな言い方しておいてさ!」
「え?何の事よ?」
リリィはキョトンとした様子でヨウコの顔を見る。
ヨウコは、更に怒りが込み上がってきた。
「とぼけないでよ!あたしに劣等生って言ってバカにしたこと、絶対許さないからね!」
「本当に何のこと?そもそも私、今日は授業休んでいて、教室に行ってないわよ?ルナから聞いてないの?」
「…え?」
「あれぇ、そういえば今日、リリィ授業休むって言ってたんだぁ!」
「えぇっ⁉全くもう!しっかりしなさいよ!」
ど…どういう事?じゃあ今日、教室にいたのは…誰だったの…?
「フフフフフ…光の魔法…新たな魔法使いが現れたナ…。アハハ、騙されやすい最高に面白い子だ!また遊んでやるよ、ヨウコ。」
ライトはまた何かを企んでいる様子。
続く…
リトルウィッチ&ウィザード ITSUKI @meeme2817
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