〜骨など超えて塵まで燃やす〜“焔魔法”実証実験報告書

生卵の目玉焼き

序章

第1話 私は死んだらしい。





 唐突だが、私は死んだらしい。

 うーん、心当たりがない。私、死ぬようなことしたっけ…? というのも、目の前に看板があるのだ。


【天国 ←  → 地獄】


 ちょー極端な看板。というか、こう言うのって自分で決めるの? どうせなら、天国に行きたいなぁ…


『あ、来た来た! めっちゃ不幸な人!』


 え、誰?


 目の前にいるのは…… 天使? 頭の上に輪っかを乗せて空に浮いている女の子がいた。

 なんか、ふんわりかわいい感じだ。


『ふふふっ。あなたはこれから、私たちの実験台…ゲフンゲフン。』


 前言撤回、微塵も可愛くない。私に何をさせようとしてるのよ!?


『まあまあ、あなたにとっても悪い話ではないから。』


 逃げたい。猛烈に逃げたい。しかし、もう手遅れらしい。目の前に魔法陣みたいなものがある。そして、神様パワーで指の先も動かせない。

 ちょっ 誰か助けてー!


『このまま天国に行っても、あなた未練がいっぱいでしょう?』


 目の前の天使(?)はそう私に諭してくる。

 それは…その通りな気がする。気づいたら私は死んでいた。もっと、人生を楽しみたかった。

 成人して、人生これからってところで死ぬとか、全然納得できない。


『というわけで、異世界に転生してもらいまーす! もちろん、特殊なスキル付きで。』


 え? 異世界?


『私たちが開発した魔法、焔魔法って言うんだけど、まだ性能が安定していなくてさ… テストも兼ねてこの魔法で異世界に行ってくれるなら、異世界に転生できるよ!』


 焔魔法… 一体どんな魔法なんだろうか。

 そして、異世界で人生をやり直せる。これも魅力的だ。よくあるラノベの「スローライフ」とか、結構憧れの生活だ。


『と言うわけで、いってらっしゃーい!』


 天使(?)がそう呟いた瞬間、猛烈な眠気に襲われて私は眠るように気絶した。



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