この爆裂散歩に平和な帰宅を!②

「ゆ、ゆんゆん。ありがとうな。」


ジャイアントトードから助けてくれたゆんゆんに礼を言う。


「い、いえ。あの…大丈夫ですか…?」


ああ、この子はなんて良い子なのだろうか。

うちの爆裂狂も見習ってほしいものだ。


「おい、私とあの娘を見比べて何か言いたいのなら聞こうじゃないか。」


これでも、同じ紅魔族なんだよな……。

性格といい……、その他も含めて……。

はぁ……。


「なっ、ため息とは何ですか。何を言いたいのですか!」


めぐみんが俺の顔をつねってくる。


「それより、めぐみん!勝負よ!今日こそ勝って見せるんだから!」


ゆんゆんがめぐみんに話しかけた。


「あーもう、またそれですか!あなたは本当に面倒くさい娘ですね!」


「め、面倒くさいって何よ!」


「見て分からないのですか?私は今、このカズマとデートをしているのですよ?勝負もなにも私とゆんゆん、もうこんなにも差があるのです。分かったなら早くここを去るのです。」


これは爆裂散歩だ。デートではない。


「で、デートとか言って爆裂魔法を撃つだけでしょ!?」


「だけ!?今、だけと言いましたか!?爆裂さ…爆裂デートは私たちの大切な時間なのですよ!?」


コイツ、本当はこれをデートとは思ってないだろ。

言い直したぞ。今。


「それに勝負するといっても、私は今動けないのですよ?ゆんゆんはいつの間に人が動けないところを襲うような娘になったのですか?見損ないましたよ。」


「ちょ、ちょっと動けないところを襲うとか嫌な言い方しないでよ!」


「嫌な言い方もなにも、事実じゃないですか。カズマもそう思いますよね…って、ひゃうっ!」


優しい俺は、魔力を分けてあげた。


「これで公平だろ。じゃあ、俺は先に帰るから。勝負、頑張れ!」


そういい、俺は歩き出した。


「ちょっとカズマ!?さっきまで私と盛り上がっていたのに裏切るのですか!?」


「盛り上がっ…!?めぐみん、カズマさんと一体何を…!?」


あいつ…言い方ってのがあるだろ。

だが、振り返らない。今日はサキュバスサービスを受けると決めていたんだ。

このままだと遅くなる。


「めぐみん!さっき何をしていたのかは分からないけど……カズマさんからも許可が出たし、早速勝負を…って、ほっへをひっはらなひでひょ!」


「見捨てられた私の気持ちを考えてくださいよ!あなたはもっと空気を読めるようになってください!」


「みふてるって、それひゃあ、わたひがまものみたひじゃない!?」


そんな言い合いを聞きながら門に向かって歩く。

めぐみん……頑張れよ!

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この爆裂散歩に平和な帰宅を! くろぺーく @hasami112

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