バグ東京

asuga

第1話

 この町は正直言って最悪だ。


 何故かって?それはこの家から出れば自ずと解るさ、


 馬鹿みたいに汚い空気、其処ら辺には轢殺された命だったものが腐るのを待っている。


 この東京という街は、無関心で騒がしすぎる町。正直もう勘弁だ


 自動車の音が俺の夢を妨げるし、昔からあった空き地は全部駐車場になってしまった。


 ショッピングモールにはイカレ野郎どもが、「ここは人間の町」だとか宣っている。


 冗談じゃない、人はもうさっさと絶滅すればいいのに。


 この東京という街はもう僕らの国なのにさ、ずっと前に仕事を全部俺達に放っていったのはどこの誰だ?


 こんなことを考えてもだめだと、狭い四畳半の部屋から飛び出し車にエンジンをかけた。


 なんでエンジン車を乗ってるかって?


 それはやっぱりかっこいいからかな。


 あのバックトゥー・ザ・フューチャーを見返すたび、エンジン車を乗り回したくなるのは俺だけであろうか?


 いいや、違うね。誰だってマイケルに憧れてスケボーを乗り回した日があったはずだ、たまにスケボーにエンジンがつかないかなんて妄想した日もあったはずなのだ。


 夕闇が広がる前に、俺はエンジン車を走らせた。


 皆が移動する。


 その動中は倒れたドミノのように途切れず、インターチェンジでミスると毎回焦ってしまう。


 巨人の足跡が各地に見える。


 その足跡は小人たちにとっての恵みで、その光景はさながら人にとっての親からの恵みの様だ。


 俺達は漂流するこの東京で暮らす。


 漂流する最終地はきっと港区だろうね。


 誰もが憧れたヒーローも、役目を終えたらこの町で漂流し人によっては死んだり四畳の部屋にぶち込まれたりするんだ。


 俺はそういうやつのことを屑と呼び、そうでないものを聖人と呼ぶ。


 ゴミ捨て場から腐っていないものを判別できないように。


 つまりは潜れない俺達のせい?


 でもそんなことを言われても、俺達はこの東京で暮らしていることに違いないしそれは騙されていない。


 騙す側と騙される側、どちらに非があるのだろうか?


 当然前者だ。


 俺達は騙すものに容赦はしない。


 かつての人間は、騙すものを吊し上げるそうだが、俺達は違う。


 そいつの頭を打ち貫き、その中のグロいものを晒上げるんだ。


 どう?中々に負けてないだろう、俺達も


 町を爽やかに疾走していると、たまに昔を思い出す。


 ショッピングモールのゲームセンターで終わることのないメダルゲームを繰り返したこと、そういえばあっち向いてほいっが得意だった。


 ショッピングモールも随分静かになった気がする。


 あれからどのくらいたったか分からないけど、総菜がおいしかった記憶を頼りに晩餐を決める。


 でも残念、ショッピングモールは空き地になっていた。


 此処もいつか、あれになるのだろう。


 車を走らせ一つの目的地に着く、渋谷は相変わらず寂しい町だ。


 いつの間にか此処は駐車場まみれになった。


 高速の中に離れていく分離帯に切なくなるのと同じで、この光景を眺めているとここが俺達の居場所という気持ちもしなくなってくる。


 一歩入れば薄汚いスラム、420で狂った馬鹿が俺に金をせがむ。


 420で狂うやつは馬鹿が多い。


 楽しむ範囲でやればいいのに、なぜあそこまで入れ込むのか俺には理解ができない。


 だけど、正直依存してしまう気持ちもわかってしまうのが世知辛い。


 腐った政治家も全員彼女420に頼って、粗悪品のダンスホールで踊り狂う。


 バイパスを破壊して、最後まで楽しみたいのはみんなそうだ。


 練馬区はおいしいお店が多くて好きなんだけど、吉祥寺が隣だからあまり行きたくなくて結局あまり好きじゃない。


 今日の深夜は長い。


 今日は帰りに牛丼を食べよう。


 今日は特別に大盛りにしてやろうと思う。


 帰ったら、足しにもならないレイトショーでも見て寝よう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バグ東京 asuga @tarandoran2114

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ