芍薬

第53話

今日、看護士さんに「夕方散歩してもいいですか?」と聞いたら、二つ返事で許可が出た。

でも車椅子だけど…



夕暮れの風はひんやりして気持ち良かった。

病院の建物を半周した辺りに花壇がある。

そこにいた職員の人が、「はい、お嬢さんどうぞ(^-^)」と芍薬の花を一輪くれた。ぼんやり夕焼けを観ていたのだが、余程惚けた顔をしていたのだろう。



看護士さんがナースステーションから花瓶を一つ借りてくれた。

ひんやりした逢魔ケ時の病室に、ボンヤリ浮かび上がる芍薬の花が一輪。

灯籠の灯りの様に揺れて、異界へつれて行かれそうなときめきを感じた。

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