赤い糸
第27話
母が出雲大社で買ってきた。
なんでコンナモノ…
何となく小指に結んでみる。
糸の先が風に吹かれて頼りなくなびく…
繋がる先のない赤い糸。
言い様の無い嗚咽が込み上げて…
母を病室から追い出した。
ヒトリになりたかった…
空に夏に近づく雲が遊んでいた。
私の髪を涼やかな風が、ゆっくりと撫でていく。
昔あの人がしてくれた様に。
切ってしまおうか…
髪なんか。
そして忘れてしまおう。
あの人の事なんか…
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