第17話

【雨の水曜日と口紅とお友達】



今日は昼から雨模様



港は静かにぬれていく



カモメは急いで雨宿り



私は窓から見える人達を

見たり笑ったり手を振ったり



車がゆっくり徐行しながら

海岸線へ停止する



あぁ…

お昼休みだな

そんな時間帯だ



突然玄関に宅配便の人の

声が響く



本当に毎日誰かが来る家だ



今日はおばちゃんの友達だ

何かお昼食べに来たみたい



突然私のいる部屋のふすまが開いた



「あんた!どう?」

笑っている…

おばちゃんの友達が…



仕方ないので

「はぁ…ぼちぼちです」

と私。



「はぁ?何を言ってるの?そんなスッピンだからよ」

とおばちゃんの友達



そして私に口紅をくれた



今日のオマケは口紅か…



そんな事を考えながら

ボォ〜っとしていた



そういえば

何年もマスク生活だったから

口紅つけるの久しぶりだなぁ



ふと気がつくと

おばちゃんの友達が私の隣に座ってた



その目は

早く口紅使って

と言わんばかりに見開かれていた



せっかく頂いたので

つけてみた



「アッラぁ~!良いじゃない!やっぱりこの色似合うと思ったのよね〜!」

とおばちゃんの友達は満足気である



特段美しくもない

特長もない私の顔に

パッ!と明るく華が咲いている



口紅って

たいしなんだなぁ~



等と鏡を覗く

他愛もない昼下がりだった

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