第2話
【あなたでなければ…】
そんな気持ちを持っていると
いつか相手に伝わって
柔らかい関係が築かれる
そう話してくれたのは
山寺の御院家さん
私は
そんな気持ちに中々なれないので
『あなたでなければ…』
となんとなく口ずさむのが
癖になっていた
千里万里を越えていく
微かな心の振動
『あなたでなければ…』
そう唱え続けて
長い年月が過ぎていった
あなた自体が
そもそも居ない私には
余り意味のない言葉なのかもしれない
『あなたでなければ…』
私はどうなっていただろう
まるで昔の歌謡曲の一節の様だ
『あなたでなければ…』
そんな人には
とうとう出会えなかったけれど
ま、そういう人生なんだろう
と淡々と他愛もない日々を生きていく
私にはそれが一番
幸せなのかも知れない
私に
『あなたでなければ…』
という言葉を教えてくださった
お寺さんに感謝して
今夜も眠りについた
『あなたでなければ…』
そんな人が夢の中に出てくれば
良いな…
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