少女の呼び声
***
――ベルナデットは、気が付くと薄暗い神殿の中にいた。正面には剣と盾を持った女神・セラディアーナの神像が厳かに建っている。セラディアーナの神像を改めて見ると、あの少女の姿から成長したのがこの姿のように見えた。すると、突然神像が淡く輝き出した。ベルナデットは驚くが、そんな暇もなく神殿のどこからともなく誰かの声が聞こえてきた。
『――ますか、――聞こえますか?』
何度か呼び掛けられたあと、声がはっきりと聞こえてきた。まるで甘い菓子のような少女の声である。
「えっと、聞こえてるけど・・・あなたは一体・・・?」
ベルナデットは声の主に問いかけた。
『それは・・・ごめんなさい、答えられません。ですが私はあなたの味方です。私はあなたに冥府の門を壊して貰うために、聖剣を通してあなたに語りかけています』
「聖剣から・・・!?」
またしても聖剣の新たな力を知ったベルナデットは驚愕した。
『・・・あなたのいる場所から一番近くにある冥府の門は、その場所から南東にあるブロシュタルとカルタの国境沿いにある山の中・・・フューメ山の中腹付近にあります。その周辺には濃い瘴気が漂っているので気を付けて・・・門を、どうか・・・』
少女の声はそこで途切れた。
「待って! あなたは一体!」
ベルナデットは少女の声に向かって叫ぶが、自分の声が神殿内に木霊するだけであった。すると、淡く光っていた神像がにわかに強く輝きだし、ベルナデットの目の前は真っ白になった。
***
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