甘い苺はやっぱり赤い

第5話

そんなわけでクラスの友達と学校へ行くようになった。



「ねぇ、蘭は応援団やらないの?」


「……おうえんだん?」



クラスで一番仲良しの赤坂あかさか晴海はるみにそう言われた。



「うん。

お兄ちゃんが言ってたんだけど、クラスで男子二人、女子二人応援団を選ぶんだって!」



はるみにもゆきくんやバカ秀と同い年のお兄ちゃんがいる。


「そうなんだ。はるみはやるの?」


「うん!やろうかなーって思ってる!」



私の頭の中では様々な計算が行われていた。


「ちなみに去年、福本先輩は応援団だったって。

二年やってるらしいから、きっと今年もやるってお兄ちゃんは言ってたよ。


それに先輩も三組だから、きっと同じ色だよ!」



はるみは私のゆきくんへの気持ちを知る数少ない友人だった。



「なるっ!なる、なる、絶対なる!」



私がそう答えるとわーい、じゃあ一緒にやろーとはるみが笑いかけてくれた。


そして私は思わぬケアレスミスに気付くことになる。



「三年生の粕谷愛子です。お願いします!」


「三年の米倉秀。よろしく」



……そりゃ、そーだよ。



ゆきくんがなるってことは、この二人がついてくることくらい、たやすく想定できたはずじゃん……。



「一年の赤坂晴海です、頑張ります!」


一生懸命挨拶したはるみに拍手を送って立ち上がる。



「一年の、米倉蘭です……」


「蘭ちゃん、頑張ろうね!」



愛子先輩に笑いかけられ曖昧に笑い返した。


ためいきをつき床に座ると、ゆきくんと目があって小さく手を降ってくれる。

……まぁ、あの二人くらいいても良いか!


一緒に運動会、作り上げてこう!



「二年の梶友哉です。お願いします」


そう挨拶した二年生を見てはるみがその二年生を指差す。


「ねぇ、あの人、超かっこいい!」


「……そうかなぁ?」



私ははるみの言葉に疑問形で返した。

絶対にゆきくんのがかっこいい。


だって、もうオーラが!



オーラが違うもん!



私、正直今まで生きてきてゆきくん以外をかっこいいって思ったことないんだよね。

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