第3話
会社名は社長の名前が“樫尾”だから、と言うのが名前の由来だ。
ここで派遣社員として働くことになった時、少しだけ笑いそうになったことを今でも覚えている。
「――もう1年も前の出来事か…」
そんな懐かしい昔話を思い出して、私は呟いた。
厳しい就職活動の末に内定をもらうことができなくて、大学卒業後はすぐに派遣社員として働いた。
ボーナスもなければ福利厚生もない、頑張って働いたとしても3年が上限と言う厳しさだけど、このご時世給料がもらえるだけでもありがたい。
何より、残業があまりないと言うのが気楽でいい。
「今年の夏はどうしようかな?
お金がだいぶ貯まったから旅行にでも行こうかな?」
7月、それも梅雨明けまで後少しと言うこともあってか、空気がカラッとしていた。
いつものように自宅近くの駅で降りて、そのまま家へ向かおうとしたその時だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます