第14話
ねぇ、直成先生、飲み会にいたデブがちょっと、いや、だいぶおかしいの
うちにずっといて、出ていこうとしないの。
前から言っているように、私、デブって嫌いだから。
あのデブは、直成先生と同い年って?
28歳?
飲み会であっただけの、しかも女性の家に居座るって信じられない。
直成先生からも言って
デブはデブの家へ帰らせて
言えない。
だからよぉ、と言われるから、ではなく。
言う権利はあるのに。
直成先生とこども達は楽しそうに話している。
職員室の入り口は見えている。
貴重な休み時間を、こども達との雑談に使ってしまうなんてもったいない。
それが終わるのを待っている私も私だ。
でも、職員室に入ってしまえば、直成先生と二人で話す機会はいつになるか。
ちょっと直成先生と話があるから、と言えば、沖縄の素直な9歳児は散っていくのに。
それさえも言えない。
言えない私だから、デブもうちに居座っているんだ。
わかっている。
私は良い子ちゃんになりたい。
誰にとって?
直成先生に。
酔ってデブを家に連れ込む女と見られたくない。
子どもの話を待てる大人の女性だと思われたい。
子ども達からは自分達の楽しみを奪わない、良い先生と思われたい。
デブからは?
デブは嫌いなんだから、よく思われる必要がない。
強引にでも追い出せばいい。
けれど、まだ追い出せていないのが私……。
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