愛と罰(仮題)
藍沢 新
第1話 決心
「おっと、手が滑ってしまった」
小学校教諭最終日にして、初めて心の底から子どもに向けて出た言葉がそれだった。
配ぜん中の茶碗から意志をもって飛び出した味噌汁は、丸ごと塗りたくるように10歳児の頭皮へと滑り込んだ。
「あう#$“&‘*????っ?¥%=~~~~~!!」
焼けるような熱さと、振り切れないぬめりでもがく男児を横目に、教諭岡田は掃除用具入れからバケツを取り出し、混乱に渦巻く教室を後にした。
愛と罰(仮題) 藍沢 新 @SimonFujisawa
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