第5話

「本屋じゃん」


 音ちゃんの後に続いたわたしは、薄々分かっていたが、やはり本屋にやって来たことに気の抜けた声を出すのだった。


 来ると思ってた。音ちゃんだし、わたしの気が済んだのなら、一人で本屋巡りでも始めるつもりだろうし。もちろん付いて行くけど!


「後でもっと大きい本屋行くけど」

「付いて行くけどさ……」


 満足そうな音ちゃんは、本屋に入ろうとしない。


 わたしをからかっただけ? ちょくちょくからかってくるけど、未だによく分からない。音ちゃんがからかってくれるのは、多分わたしにだけだから嬉しいだけど……。


「服屋ね」


 そんな音ちゃんの服の袖を持って、わたしは服屋を目指す。とりあえず、ここら辺はわたし達でも手が出せる服が多いし、片っ端から音ちゃんに似合うかどうかを試してやる。


 今度はわたしが振り回してやる。

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