第3話

「ふわぁ」


──生徒会室で待つこと15分。


その間誰も来ることはなく、特にすることもなく、ただただ待っているだけの私、六道ろくどう 李織いおりは待ち疲れ、あくびが出てくる程になっていた。



「ちょっと、目を閉じるだけ……」



夕日が差し込んで暖かくなった部屋で、私は睡魔に勝てず、睡魔に誘われるがままかばんを抱き込んだ状態で眠ってしまった。



──────────────────────────────────────


「…でもこの子、寝てるよ?」


「つうかこいつ誰」


何分経過しただろうか。私は腕のしびれと周囲の人の気配、人の声でだんだんと意識が覚醒してきていた。



「この子は5組の子だと思いますよ」


──さっきから誰なのよ。


その声で完全に覚醒し、私がゆっくりと瞼を開くと、目の前には私を囲むように男子が2人と、向かいのソファに堂々と座る男子が1人、そして右側に眠そうに座る男子が1人いた。



「おはようございます」



声をかけてきたのは私の目の前に立つ茶髪の男子。胡散臭い優しそうな笑顔でこっちをむいている。



「チッ。やっと起きたの」



私の左前に立つ、私服だと女子と間違えられそうな男子は私を思い切り睨みつけ、


「おい、そこは俺の席だ。起きたならどけ」


と顎で指してくる。そんなじゃ女の子に嫌われるわよ、なんて突っ込みつつ完全に無視する。



「薫ちゃん、女の子にひどいこと言ったらだめだよ」


「薫ちゃんって言うな!とりあえず、ここは俺の場所なんだよ。早くどいてくれる?」



優しい顔でなだめる男子は私の方を見て困ったような顔で笑う。



六道ろくどう 李織いおりさんだよね?生徒会の咲蘭のお姉さんの」


「はぁ!?こいつが咲蘭の姉ぇ!?この地味で真っ黒な髪で昭和みたいな眼鏡かけたやつが!?下手したら亡霊と間違えられそうな!?」



優しい顔の男子の言葉に薫と呼ばれた男子は大声で叫びながら、私を指差す。



人を指差したらいけないんだよ少年、と心のなかで突っ込む。

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