第227話 もふもふ活躍中
外での仕事を完遂した
最近、その表情がいつものことになっている気がする。ちょっと申し訳ない。
「……ミーシャも撫でてやろうなー」
『にゃごにゃご』
筋肉を揉みほぐすように、ミーシャの顔をワシャワシャと撫でる。
やり過ぎなければ、ミーシャはわりと嬉しそうに撫でられてくれるのだ。
逆に言うと、やり過ぎるとすぐさまツンとした感じで避けられてしまうんだけど。
うん、今日はまだ大丈夫。
俺が抱えていた
チラッと見ると、カラフルな
インクが敷物のように地面に転がり、その上に集まった
……羨ましくなんてないんだからな!
それはそれとして、日向ぼっこで暖まってる
「──よし、俺たちも日向ぼっこするか!」
『ここでにゃ?』
場所の問題らしい。
俺の誘いを突っぱねなかったデレ期のニャンコに、頬が緩みそうになるのを、頬の内側を噛んでこらえた。
俺のもふもふが今日も可愛い。
「んー、じゃあ、リルの草原に戻るぞ」
昼寝をするなら、草原の方が気持ちいいだろう。
ここは日差しがあっても、下は普通に土だし、狼族獣人たちの気配もそれなりに感じるし。
ということで、ミーシャを連れて移動したら、
インクは
「ふあ……いい天気だなぁ」
『わざわざ変えなければ、いつも同じ天気だにゃ』
あくびをしながら、寝そべるミーシャのお腹に抱きつくように寝転がる。
ポカポカの日差しと肌に触れるもふもふが心地いい。
すごく幸せだけど、本気で寝る気はない。なぜなら──
『あ~、リル、はやいね〜』
『カッコいい〜』
『フェリスもがんばってて、えらいよ〜』
現在、リルたちが地獄の穴攻略中である。
リルと一緒に向かったフェリスの視界を映し出すモニターを眺めて、
テンションが上がって、ぴょんぴょんと跳ねる
無気力を極めていても、衝撃は無にできないんだなぁ。
『お、鑑賞中でしたか。ダンジョン内の光景を見るのも飽きてきたので、いい余興ですねー』
そんなことを言いながらフラッと現れた
ウェストポーチ型のアイテムバッグからは、たくさんのツマミも出てくる。
今日はワインに合わせて、チーズやナッツ類が多い。
「自堕落だなぁ」
『もふもふに埋もれているマスターがそれを言います?』
くふっ、と含み笑いを浮かべた
美味いワインだ。
『ダンジョン攻略、全然進んでないにゃ』
『自称勇者も足踏みしてますしねー』
『訓練所の効果がいまいち発揮されてないにゃ』
『スキルを覚えたって、それを実戦レベルで活用するのは、もう一段階努力が必要ということでしょ』
リルたちを映すモニターとは別の映像をチラッと見たミーシャと
ダンジョン攻略はまだ
自称勇者のイサムが制限トラップにかかる様は面白いけど、最近はちょっと飽きてきた。変わり映えしないんだもん。
それよりは、リルの戦いを眺める方が断然楽しい。敵が一瞬で消されていくだけなんだけど、リルの姿が可愛くて綺麗だから、眼福って感じ。尻尾をブンブン振ってめっちゃ楽しそうだし。
今日も俺のもふもふが最高に強くて可愛い。
「相変わらず、DPの増え方がハンパないなぁ……」
チラッと確認した数値に、ちょっとだけ現実逃避する。
すでに邪神探索レーダーを起動できるくらいには、DPが集まってる。
ただ、地獄の穴で入手できるかもしれない玉がある方が、確実に邪神の元へ行き来しやすくなるはずだから、まだ実行に移さないだけ。
DPは余分に集めても無駄になることはないし、のんびりと計画を進めるつもりだ。
邪神をぶん殴る時は、歩夢も一緒に行きたいって言っていたのを思い出して、連絡しておいたから、その返事待ちでもある。
勇者という立場の歩夢は、好き勝手に動けないからなぁ。ちょっと予定が空くまで時間がかかるかも。
まあ、急がなければならない話ではないし……と改めて自分を納得させていたら、リルの声が聞こえてきた。
『マスター、泥んこがまたいるよー』
「泥んこ?」
首を傾げながらモニターを見て、すぐに苦い思いを噛み殺しながら「ああ」と頷く。
以前のカナと同じような姿をしたモノが、リルの前にいた。
予想はしていた。
地獄の穴が自然発生するものではなく、邪神の利益になるものとして生み出されているなら──そこには以前のカナのように使い潰されているモノがいるだろう、と。
わかっていたからと言って、胸糞悪い気持ちがなくなるわけじゃない。
うん、邪神は一発と言わず、十発は殴る。
DPで覚えた能力はまだ練習中で、お披露目できるまでもうちょっと時間がかかりそうだ。どんな能力を選んだかは内緒。
「……スイとコウを向かわせるよ」
『はーい! じゃあ、臭いから、僕は違うところに行っとくね!』
リルに〈臭い〉判定を受けた泥んこが、『きゅーん……』とショックを受けた感じで鳴いたのは、きっと気のせいである。たぶん。
すぐにスイとコウにキレイにしてもらうから待ってろよー。
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