ストレス発散も大切です

第201話 待ってたよ!

 放置してるだけでDPをザクザクとゲットできる状況になった。


 自称勇者のイサムが「訓練所で鍛えて、絶対に剣を取り返してやるッ!」とやる気いっぱいになってくれて、ありがたや〜。

 これからもよろしくな、自称勇者高DP源


 それはいいとして。

 もふもふ教の布教も、モフタマたちと教会の管理者(時々狂信者)に任せてればいい感じだし、ちょっと暇だ。

 他の地域への支部進出も、歩夢の後押しがないとなかなか進まないもんなぁ。

 元気かなぁ、歩夢……。


「んー……なんか面白いことないかなー」


 料理を作るのを終えて、ポツリと呟く。


 暇すぎて、最近は日本食を作るのにハマってるんだ。

 作った料理は、たいていロアンナの元に運ばれて、お店で出す新メニューとして採用される。


 おかげでダンジョン飯の日本(地球)食化がさらに加速してるんだよな。

 美味いから問題なし。


 今日作ったのは焼き鳥だぞー。

 食材はこの世界でとれるものを使用した。わりと美味い鶏肉があったんだよな。たぶん鶏じゃないけど、味がそれっぽいやつ。


 もも、むね、ねぎま、つくね、手羽先、皮、レバー……ひたすら串に刺して、炭火で焼きました!

 美味そう。絶対ビールに合う。


 いそいそとビールを用意して、晩酌の準備は完了。今、ダンジョン外は昼だから、昼酌って言った方が正しいのか?


 でも、ダンジョンマスターに、昼夜の区別はあまり関係ないし、はは。

 ……人間やめてる実感が湧くから、あまり考えたくないことだけど。


「かんぱーい」

『にゃ……いい匂いにゃー』


 一人で乾杯は寂しいなぁ、と思っていたら、昼寝していたミーシャが起きて、クンクンと焼き鳥の匂いを嗅いでいた。


「ミーシャも食う?」

『食べるにゃ』

「おー、一応ネギはやめておこうな」


 人間と同じものを食えるミーシャだけど、ネギをやるのはダメな気がする、と避けて焼き鳥セットをプレゼント。

 器用に串から抜いて肉を頬張ってる。


『うみゃみゃ』

「よかった。ビールは?」

『いらないにゃ』

「……そっかー」


 酒飲み仲間が欲しい!

 一緒に飯を食うだけでも楽しいんだけど、やっぱり飲みニケーションも恋しくなる。


 操人形マリオネにコネクトを繋いでみようかな。

 つーか、アイツ、どこまで行ってるんだろう? 連絡なさすぎじゃない?

 生きてることも、ダメージを負ってないこともわかってるけど、ちょっと心配になるぞ。


『マスター、僕ヒマだよー』


 しょんぼりと尻尾を垂らしたリルがやって来た。エンドもその後ろをついてきてる。

 最近は外の山での魔物間引きも終わり、リルたちの出番がまったくないから、退屈しているようだ。


 訓練所のエクストラエリアに行って、強敵との戦いに挑むこともしているようだけど、あまり歯ごたえがないらしい。

 リルたちにとっては、生身での戦いとは違うように感じるみたいなんだよなー。


 早急にリルたちの狩り場が必要だ。

 そのためには、やはり操人形マリオネに進捗を聞く必要がある。


「よし、じゃあ、狩り場候補ができたか、今聞いてみるから──」


 俺がそう言った瞬間、コネクトが繋げられたのがわかった。

 噂をすれば影? これはもしかして──と期待して耳を澄ます。


『マスター、お久しゅうございます!』

「お、操人形マリオネじゃん。久しぶりだな。でも、挨拶がなんかおかしくないか?」


 あれ? これ、ホントに操人形マリオネか?

 ちょっとばかり疑ってみたけど、声も存在感も操人形マリオネなんだよなぁ。


『あなたの大好きな飲み仲間操人形マリオネですよー。俺が長く不在で寂しかったでしょう?』

「寂しくねーわ」


 ……うそ。ちょっと寂しかったです。

 今度帰ってきたら飲み会しようなー。美味いツマミをたくさん作るぞ!


『またまたー、そんなこと言っちゃってー』


 笑う操人形マリオネに、「報告は?」と話を促した。

 全然音沙汰なしだったかと思ったら、めっちゃフランクに連絡してくるじゃん。心配して損だったよ。


『あ、狩り場候補が見つかりましたよー』

「おっ、マジか! それはいい報告だな。リルたちが暇だって言ってきたところだったんだよ」


 俺がニコニコと笑って言うと、リルたちがパッと俺を振り向き凝視した。

 目が期待の色を濃くしてキラキラと輝いている。可愛いなぁ。


『マスター、僕たちの狩り場が見つかったの!?』

「おう、まだ候補だけど」

『僕も聞く!』

「おけおけ。コネクトをスピーカーに繋いで、と──」


 リルの要望を受けてササッと作業し、全員で操人形マリオネの報告に耳を傾ける。

 リルとエンドがめっちゃ前のめりになってて面白い。待望の狩り場(仮)だもんなー。


『あ、もう報告進めていいですか?』

「ん、頼んだ」


 俺とリルのやり取り中は黙っていた操人形マリオネが、再び話し始める。


『俺はダンジョンを出てから、北へ南へ、西へ東へ、文字通り東奔西走していたんですけどー』

「ちょっと恨み言が混じってないか?」

『そんなこと……あります!』

「あるんかーい。お詫びに、帰ってきたらたっぷり酒を渡すよ」

『許しました』


 チョロい。

 お互いにふざけているのを理解しながら、クスクスと笑う。このノリが操人形マリオネのいいところだ。


「それで? どの辺で狩り場候補を見つけたんだ?」

『ダンジョンから南に進んだところの、ダルマランという町です』

「町? え、人が住んでるところを狩り場にしようとしてんの?」


 それは流石にダメだろ。

 神狼フェンリル古竜エンシェントドラゴンが現れたら、国中がパニックだよ。

 そもそも人が住んでるところに、リルたちが相手をできる魔物がいるとは思えないし。


 顔を顰めていると、操人形マリオネが『いやいや』と否定する声が聞こえた。


『ここ、町ではあるんですけど、正確に言うと【元】なんですよ』

「元……? つまり、今は町ではない?」

『そうですねー。廃墟っていうか……今はダンジョンの一部? みたいな?』

「は……?」


 予想外な単語が聞こえて、ポカンと口が開いた。

 今、ダンジョンって言った?

 つまり、他所様のダンジョンを狩り場にしようとしてる!?


「──俺、対ダンジョン戦なんてしようと思ってないんだけどな?」


 なんでそんなことになったんだ??


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