第32話 小さい暴れん坊たち
転移魔法陣を使って、
『こんにちは~』
『ねぇねぇ、このくさ、たべていい~?』
『だれ、このひと~?』
一応
俺は、目を白黒させているロアンナを見て、その近くでぐったりと倒れている
……ロミトラが起きる可能性はなさそうだな。
「狼族獣人だよ。俺たちに協力してくれる人だから、仲良くな」
ロアンナを紹介するついでに、今後、狼族獣人たちがここにある畑を管理してくれることを説明する。
普段四階層で過ごす
『わかった~』
ふんふん、と頷きながら聞いていた
ロアンナの脚に手を掛け、揺さぶるようにして話しかける。
『ねぇ、いっしょにあそぶ~?』
『おにごっこしよ~』
『かくれんぼがいいよ~』
『でも、インクとやってもたのしくなかった~』
「え? え? 何が?」
戸惑っているロアンナに、
インクって誰だ?
『ねぇ、インク、いつまでねてるの~?』
一体の
というか、インクって、
「なんでインク?」
ペンのインクとかを連想しちゃうんだけど……そう言われたら、
……いかん、思考が汚染されてる。
『インキュバスってながいから~!』
『インキュはいいにくいから~』
『ながいよびななんて、インクにはぜいたくだ~』
でも、インクって呼び名は合ってるし、いいと思うぞ?
「俺も、インクって呼ぶぞ」
『もう、お好きにどうぞ……』
思考力が溶けてやがる。
ぐてっと疲れ果ててるインクは、どれだけ
影に潜む能力がある
「ロアンナと遊ぶなら、かくれんぼはやめてやってくれ。お店屋さんごっことかどうだ?」
できる限りロアンナの負担にならない遊びを提案してみた。
『おみせやさん~?』
「そう。ほら、ここにはたくさん野菜があるだろ? ロアンナが八百屋——野菜を売る人になりきって、
なるべく興味を引けるように説明してみたが、果たして——
『たのしそう~!』
『こうかんするもの、さがしてくる~』
『ほかのかいそうのほうが、いいのありそう~』
目をキラキラと輝かせた
インクは神輿のように、数体の
インクはどうしても
遠い目をしているインクから、ソッと視線を逸らす。
すると、ロアンナと目が合った。
「私、今から、闇の狩人とお店屋さんごっこするんですか……?」
呆然とした感じで尋ねられる。
なんか凄そうな言葉が聞こえた気がする?
「闇の狩人?」
「え……
驚愕された。
俺、この世界に来てまだ三日目なんだよ。知識を強制的に入れられたけど、知らないことたくさんあるぞ?
「——ある街に伝わる伝説です……その街は月が消えた夜、数多の小さな影によって、たった一夜で滅ぼされました」
「お、おう……」
急にゲームのプロローグみたいなことを語り始めたロアンナに、俺はちょっと引く。
「その影たちの名は……
「そ、そっか……」
話の途中で内容は大体掴んでいたけど、
でも、強い魔物として知られる
「そんな
「うおっ! 急に声を張り上げないでくれ!」
驚きすぎて、ちょっと体が跳ねちゃっただろ。カッコ悪い。
叫んだ結果、肩で息をしているロアンナに苦笑いしながら、俺はポリポリと頬を掻いた。
「——あー、無理そうなら、なんとか止められるようにがんばる。鬼ごっことかかくれんぼよりは、いいと思ったんだけどなぁ」
ポツリと呟く。
正直、止められる気がしないんだが? あのやる気いっぱいの
最後の手段はダンジョンマスター命令だな。
そう考えながら頷く俺に、ロアンナが複雑そうな顔をしながら「それは、本当にありがとうございます」と呟く。
ロアンナもかくれんぼとかはしたくなかったようだ。だよな。
「——……これも、私たちがここに馴染むための試練だと思って、立派な八百屋さんになってみせます!」
「なんか変な感じに気合い入れちゃったな? まぁ、やる気があるなら止めないけど」
グッと拳を握って意気込むロアンナを見ながら、俺はどうしてこうなったんだろう、と首を傾げてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます