ニセモノ皇女、何度ループしても死亡エンドが待っている
@sakanana_
第1話 断頭台からの生還
皇女は立っていた。
ギロチンの横に立っていた。
それを見つめるのは大勢の民衆。彼らはこれから始まるレッツパーティーの為にボルテージがあがってる。
歓声なんか段々一体感が出て来て揃ってる。アンコール!アンコール!それ違うから、ライブ会場じゃないから。始まるの処刑だから。
「まぁ、私の為に集まってくれたの?嬉しいっ」
皇女の隣で刑を執行すべく待機していた兵は(何言ってんだこいつ)って顔をしてるし、民衆はブーイングしている。
「もういいやれ。」
呆れた皇帝陛下が兵に告げる。
了解した兵士が断頭台に皇女を設置した。
「何ですの?これ新しい遊びか何か?うふふ、そこの薄汚れた外民となんて代わって
ドス。
ギロチンは躊躇う事なく彼女の首を切断した。
「…………はっ!…?」
目を開くとベッドの上だった。
「お目覚めですか?セリィ様。」
メイドが側にいる。
皇女、セリィは少しだけ周りを見回すと
再び布団に入った。
「やっぱ寝る。」
「そうですか。」
メイドはやや諦めた口調で下がった。
(何か変な夢だったわね…でも、どうでもいいわ。)
皇女セリィ。
ザンカール王国の第三王女である。
18才。
一言で言うとバカ。
二言で言うとクズでゴミ。
皇女である彼女に対して無礼であるが、民衆も城に使える人たちも口々に言うんだも。
一度馬鹿と書いてある落書きを見た彼女、
「馬と鹿が一緒?」とお頭の足りない発言をしていた。
そんなセリィは今自分がどんな立場でどんな事になるのかさっぱり分かってない。
しかも日付が1週間前に戻ってる事も、ループしているとこも全く、まっっっったく気付いていない。
そんなんだから彼女は戻って来た。断頭台へ。
「何だか最近同じような事が起きたような…まあどうでもいいですわ。さあ民衆を可憐な私に…」
ゴツ
眉間あたりに小石が当たった。
その方向を見ると、痩せた男が叫んでいた。
「この穀潰し皇女が!」
(ごくつぶし…ってなんですの?)
「私に石を投げるなんて死刑ですわ!そのものを捕まえて死刑にー」
「死刑になるのはあんただよ」
隣にいた兵士がつぶやいた。
あとは前回の通り断頭台にセットされてー
ループ2回目
「はっ……!」
「おはようございますセリィ様」
流石に2回も首を落とされた夢は連続で見たくない。
「嫌な夢」
ー死刑になるのはあんただよー
「死刑…」
そう呟くとメイドがギョッとした。
「私可愛すぎて死刑w?」
ふっと軽く息を吐くと、メイドは顔を洗う為の湯を用意し始めた。
学園へ行く。親のコネで成績は優秀そうに見えるが3歳児が喜んで読む童話をゲラゲラ笑って読んでいる。可愛い言い方すれば感受性が高い。普通の言い方だと幼稚。絶望的な言い方だと低脳。
なぜ勉強しなきゃいけないの?
今が幸せなら良いじゃない。おいおいそれで18才とか本当にどうしようなんだけど。
これには王様もお妃様も頭を抱えて
「やはり…人選を間違ったようだ。」
と言い出す始末。
そんな彼女はイケメン囲まれて、湯水のようにお金を使い贅沢三昧で学園生活を送り、気に入らない生徒はとことんいたぶって遊んでいた。
そして何も学ばないまま3回目の断頭台にたった。
「親衛隊の皆様!私を助けなさい!」
流石にこれから自分が処刑されるのが分かったセリィは、親衛隊に声をかけるが彼らは目を背けた。
「貴方は自分が何をしたかご理解なさってるのか?」
近くにいた偉そうな人が、真剣な声で聞いてきた。
「何をしたんですの?」
きょとんとした、全く罪の意識も何も感じてない彼女に3回目の刃が下された。
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