第11話

「秀ちゃ~ん。

 こっちだよ~」


「ねぇ千冬」


「ん~?」


「何かここらへん暗くない?」


「そうかなぁ?

 普通だと思うけど。

 今冬だもん」


「確かにそうなんだけど、」


「それにもうすぐでお家着くよ」


「何か意外だな。

 大通りとかに住んでるイメージだったのに」


「どんなイメージしてんの、秀ちゃん」


「明るいところが似合うと思ってるよ」


「そう?

 明るいのは苦手なんだけどな」


「千冬は明るいのが似合うよ」


「そう言ってもらえて嬉しいよ」


「ならよかったよ」


「あ、もうすぐで家に着くよ」


「ほんと?」


「うん。

 もうお別れだね」


「そうだね」


「最後にハグしていい?」


「はい」


 抱き着きやすいように腕を広げてくれた。


 これで安心して飛び込めるよ

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