第5話未成熟なオスたち「そのまま立って見せてよ」
「あなた達!いい加減に……」
田畑さんは声を上げ男の子たちを制するが、男の子たちに顔には余裕があった。
いや何かを待ってるのか。
じっと不敵に笑う男の子に荒木が立ち上がろうとする。
「……あ!」
小さな声を上げて荒木さんがすぐに湯に戻った。
「ちぇ~」っと男の子がむくれる。
気が付くと男の子全員が恥ずかしげもなく水面顔を半分沈ませていた。
たぶん立ち上がったところをタオルで隠した部分をのぞこうとしたのだろう。
「こ、こんなおばさんの体なんて見ても面白くないわよ」
「え~、そんなことないよ」
「女子高生じゃないだから、体なんてお母さんと同じよ、見たってしょうがないんだから」
「だったらそのまま、立って見せてよ」
「な、なにいってるのよ」
「俺は全然大丈夫だけど、なあ?」
男の子たちが声をそろえてうなずく。
「体なんてもうブヨブヨで、おっぱいなんか垂れちゃってんだから」
自分の言葉に落ち込んだのか、荒木さんは下を向いてしまった。
「……綺麗だよ」
「え?」
「うん、めっちゃ美人」
「うちのおふくろと全然違う」
「ああ、スタイルいいもんな」
「バカいわないの!今日は何しにきたの?野球引退して、大学行くんでしょ、ふさけてないで」
気のせいか男の子たちの表情が険しくなった。
「あんにょ~」
脱衣所からの声が響き、驚き身を向けると、年老いた仲居が立っていた。
「はぁ!なんですか」
私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「今チェックアウトしているのは、お客様だけです」
「え?」
「宿泊予約された人たちで現在、お泊りになられているお客様は一組だけのようで……」
「え、ええとそうなんですか?……ん!」
また声を出してしまった。
だが今度の声は、驚いた意味が違う。
男の子の手が私の乳房を捉えた。
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