第一一回配信『【決戦!】王女を救え!』
今日も元気に、お腹いっぱい元気いっぱい、元気が一番! さあ、最終決戦だ!
クチーナ・アルコバレーノ、アランと、
ヴィオラです!!
お待たせしました! 一気にクライマックス、行ってみましょう!
でも、時間は、前回の配信から、少しだけ遡ります。
時はまだ、ヴァイたちが地上に降り立った頃。
そして場所は、王宮の広場です。
ここから先は、ノンストップ!
王宮の広場は、王妃と王女の処刑を行う処刑場になっていました。
すでに、王妃ミラーと、王女リング・リングは、広場の中央に立てられた、十字架に磔になっている。あともう少し。国の歴史を変えるための、残酷だが必要なショーが始まろうとしていました。
少なくとも、新しい指導者のブッシュは、そう思っています。
いつも通り、ブッシュは、制服にベレー帽、そして、腰に刀を二本差していました。
「お願いします! リング・リングを助けて!」
王女の友人ではあるが、王室の人間ではないボリショイは、兵士に捕まっている。
「助命嘆願の時期は過ぎた。王室は、やり過ぎたんだ」
ブッシュは、できるだけ分かってもらいたいという気持ちでそう伝えた。が。
「このケチ! ちび! デブ! お前の母ちゃんでべそ!」
「私の母ちゃんは、でべそではない!」
「小学生か」
聞いてて、処刑されるはずのリング・リングが思わずツッコんでしまう状況だった。
リング・リングが、どことなく余裕であるように、ブッシュには感じられた。
「もしかして、何かを待っているのかも知れないが、お前らの助けはもう来ない」
すると、ブッシュの元に通信が入った。
「海賊と、勇者たちが?」
その声を聞きつけ、リング・リングが喜ぶ。
「勇者様が!?」
「なにが助けはもう来ない、よ。来るんじゃん」
ボリショイの口は減らない。
「ここまでは来られない。まだ、軌道エレベータの近くにいる」
距離にしても、まだまだ遠い。
「じゃあ、もうすぐじゃん」
実際には違うが、
「なら、処刑を早めよう」
言葉尻を捉えて、処刑を早めようとする。
ブッシュが、磔の二人の前に設置した、演説台に立つ。
マイクに向かって話す。カメラは、地球だけじゃなく、全銀河に伝えられるようにしてある、正当性を示さなくてはならない。
「諸君! 私はブッシュだ。この放送をご覧の方々は、なぜ処刑が必要なのか、疑問に思う人もいるでしょう。私だって、無力な女性を、仮にも一国の王妃であり王女であった人を殺すのは忍びない。だが、ことは彼女らの問題ではないのです。彼女らが生きている。それを利用する悪党どもは、世の中に数知れずいます。この星は、弱い。銀河列強のただ中で、これ以上の内乱を続けるべきではないのです。そのためには、心を鬼にして、未来の禍根を、今! 絶たねばならないのです」
ゆっくりと、王妃と王女の顔を見る。パフォーマンスだ。
「何度も悩みました。ですが、この処刑によって生じる苦痛は、私が引き受けます。全ての国民のため、この星の未来のため、私はあえて、王女殺し王妃殺しの罪を背負います! ジア=ス王国改め、自由の国ジア=スに、栄光あれ!」
たっぷりと時間をかけ、演説を終えた。
自分が、モニタを通して、銀河中に映っていることを意識している。
演説台を離れ、処刑台に近づく。
処刑台に、ボタンが設置してある。ボタンを押すと、磔になっている王妃と王女に、三六〇度の周囲に設置されたレーザー銃が、同時に発射される。絶対に逃げようがないし、失敗のしようがない。
国王を処刑したときも、同じ方式を採用した。
国王は、この数百年の、圧政の体現者だった。たとえ、その本人が、圧政を辞めると行っていたとしても、それにより、その身体に流れる王国の血筋がこれまでにやった罪をすすぐことはできない。三百年の長きにわたり、苦しめられていた民衆の声を、ブッシュは、直接聞いてきた。とても、許してはいけなかった。だから、思いっきりボタンを押すことができた。
だが今は? 本当に、本当に正当なのか?
いや、正当だ。これが、新しい国作りなんだ。
ブッシュが、処刑ボタンに手をかける。
が、遠くで大きな衝撃音が鳴る。何かが来た。勇者か海賊か。
構うものか。ボタンを、押した。が、処刑が発動しない。
広場中の、全ての動力がダウンしていた。衝撃音は、これか。
ありとあらゆる機器が止まる。音が消える。自然の中の、鳥の羽ばたきが聞こえるほどに。
「どうした!?」
まさにこの瞬間、海賊の手により、光子エネルギーの基地が破壊され、光子エネルギーが使えなくなった。タイミングを計っていたわけじゃないが、ギリギリだった。
しかし、ブッシュには、そんな情報は入ってこない。あらゆるエネルギーが止まっているから。
どうする? なんとかして、処刑を終わらせるか、どうするか。
悩むブッシュ。
悩んでいる間に、王宮までのハイウェイを、馬車がぶっ飛んでくる。
向かってくる兵士たちを、正面は馬が蹴散らし、左右はアルトとケルシュが、剣と弓矢で応戦した。兵士たちは、光子エネルギーを利用した武器しか持っていないため、ほとんどが素手である。
「この状況なら、原始的な武器が最強だな」
「でも、もうやめよう。なんだか、一方的な虐殺みたいで、いやになる」
「もうそろそろつきますよ!」
ひひーん! 馬がいなないた。
そのまま、王宮の広場に突入する!
そこには、ブッシュや、リング・リング、ボリショイたちがいた。
「木下! 勇者様!」
磔にされながら、喜ぶ、リング・リング。
ヴァイたちは、馬車から飛び出して、ポーズを決めた。
『勇者参上!』
ポーズはバラバラだった。打ち合わせと違う。
そこには突っ込まず、努めて冷静に、ブッシュが言う。
「あなたたちが、ずっと邪魔してくれた、偽勇者さんですか」
やっとご対面だった。
「なるほど、お前が反乱軍の首魁だな?」
「もう反乱軍ではありません。正当なる自由の国ジア=スのリーダーです」
「肩書きはどうでもいい。馬車をかっ飛ばしてきたから、道々、馬糞が堕ちてるから、片付けといてくれ」
アルトは、心底どうでもいいという風に言った。
「馬鹿にしてるんですか?」
「もちろん。ついでにオタクの兵士たちも倒してきたけど、近代兵器ばかり使ってると、原始的な戦闘法に勝てないんだね。もうちょっと訓練した方がいいよ?」
ケルシュが、煽る。
「途中にいる兵士たちよりも、ここにいる兵士たちは、選りすぐりですよ?」
軍服を着て、実剣を持った兵士たちが、アルトたちを囲む。
しかし、ケルシュは余裕だった。磔になっているリング・リングに向かって、
「さて、リング・リング。僕の歌を聴きたいと言ってくれたね」
なぜか自信満々に言った。
「聞かせてもらえるんですか!?」
リング・リング、後悔するよ?
「今回は、いいですよ」
と、いつもなら止めるはずのヴァイが、いそいそと耳栓を付ける。
木下も、耳栓をしっかり詰めた。
「思いっきりぶちかましてくれ」
アルトは、そう言っている自分の声を聞こえなくなるくらいに、耳栓を奥まで詰めた。
「それでは行きます。お聴きください。ケルシュ、リサイタル」
ケルシュが、琴をつま弾く。音色は美しかった。
むかし一人の王様が 獅子の子どもを飼っていた
毛むくじゃらだが精悍な 子獅子の毛並みを整えた
ある日王はお付きの者に 獅子の衣裳を作らせた
ところが従者は獣が嫌い 寸法取るのもできはせぬ
捕まえようにも触れもせぬし 獣も決して近寄らぬ
そこで一計案じた従者 獅子の食事に毒混ぜた
毒入りごはんを食べた獅子 泡を吐いて死んでしまう
寝転んでしまえばこちらのものだ そのまま寸法とったとさ
できあがった獅子の衣裳 寸法完璧申し分なし
されど王様悲嘆に暮れた 衣裳はあれど獅子がいない
従者はひと言申し上ぐ 承りしは衣裳作り獅子の命は範疇外
左様であれば仕方なしやと 王様従者の首はねた
美しい琴の音色に乗せて、流れてくるのは意味不明な詩。
そして、ひどい音痴。その声は、強靱な腹筋と喉に支えられ、王宮の広場を埋め尽くした。
広場にいた兵士たちが、次々に倒れていく。ブッシュもふらつく。
リング・リング、ミラー、ボリショイも、気分が悪くなる。
たっぷり三分。歌が、終わった。ケルシュは、とても、とても満足そうだった。
「王女様! 気持ち悪かったら、吐いていいですよ! 大丈夫! 誰にも言いませんから!」
耳栓をしていて、かろうじてダメージを最小限に抑えた木下が、リング・リングを心配する。
「少しの犠牲は仕方ない。ナイスです、ケルシュ!」
ヴァイが、サムズアップ。
「釈然としない!」
広場で、それでも立っていられたのは、リーダーのブッシュだけだった。
兵士は、気を失って、倒れた。
「じゃあ、次は俺の番だ」
アルトが、剣を抜いて、ブッシュと対峙する。
ブッシュが、刀を抜く。日本刀。しかも、二刀流。
「原始的な戦法と言いましたね。ご忠告ありがとう。私の家は、古武術の道場です。先祖伝来の剣法、行きますよ!」
ブッシュが、二本の刀を振り回す。
アルトが、剣戟を繰り出すが、全て捌かれてしまう。まったく歯が立たない。
そもそも、惑星ピルスナのパーティメンバーは、二刀流と戦ったことがないどころか、モンスター相手の戦闘経験はあっても、人間相手は、訓練以外にない。
このままじゃ、勝てない。
「先程までの勢いはどうしました? もう降参ですか!」
ブッシュという男は、単にイデオロギーでリーダーになったのではなく、実力に裏打ちされていた。
「加勢するぞ!」
このままでは勝ち目がないと判断し、ケルシュが剣を携えて加勢する。
「お前が二刀流なら、こっちは二人で二本だ。行くぞ!」
アルトたちは、勇者パーティから、大量の武器防具を盗んできていた。
特に攻撃力の高い、しっかりとした剣を使っているが、問題は剣ではなく、扱う人間の力量の差だった。明らかに、差がありすぎる。
「二対一とは卑怯な!」
「それでもしのいでるやつに言われたくねえよ!」
「こんなに強いとか、聞いてねえよ!」
いったん距離を置く。アルトもケルシュも、もう息を切らしている。
対して、ブッシュには呼吸の乱れすらない。
「私の国、ジア=スは、その昔から、ヤーパンという国の流れを汲んでいます。私は、兵士ではない。サムライです。サムライは、一人で戦場の戦局を変えうる、剣豪なのです」
改めて、ブッシュが二刀を構える。
「ご高説どうも」
「世が世なら、その剣も習いたいところだけどな」
技術に対する好奇心旺盛なケルシュが言う。
「あなたたちみたいな、無頼の徒に教える剣はありません」
「無頼じゃない。僕たちは、勇者だ!」
ヴァイが、剣を取る。剣を使えないけど。
「二本の刀なら、二人は相手にできても、三人は無理でしょう!」
三人で、そろって構える。剣先をカチリと合わせ、
『一心同体、三勇者!』
三人がかりで、ブッシュに斬りつける。それでもブッシュは、しのぎきる。
が、ようやく、ブッシュの剣を一本たたき落とした。
「やった!」
「これで力も半減だな!」
ほっと一息つく、アルトとケルシュ。
でも、ブッシュは、そのまま悠然と刀を構え直し、鞘に納める。
「刀一本でも、戦えますよ?」
「なんだ? 降参か?」
「油断しちゃダメだ!」
ブッシュが、不用意に近づいたアルトを一閃。居合い斬り。
脇腹を切り裂かれる。横一文字に、鮮血が飛び散る。
「アルト!」
しかし、見た目ほど傷は深くなかった。
「ちょっと浅かったですね。次は外しません」
「嘘だろ。剣が見えない!」
ブッシュが、再び納刀。居合い斬りの体勢。
ヴァイは警戒し、充分に間合いを取った。つもりだった。甘かった。
遠いと思った距離は、ブッシュにとっては射程内だった。
一歩で詰め寄ったブッシュの居合いで、ヴァイは、一瞬で、胸元を切り裂かれた。
「そんな……! そんじょそこらの勇者よりも、強い……!」
「どうする? どうする?」
一人残されたケルシュは、打開策を考えようとした。何も浮かばなかった。
「さあ、もうあと一人です。あなたを片付けて、改めて王女を処刑します」
じりじりと、ブッシュがケルシュに近寄る。
ケルシュが、息を詰める。剣を放り捨てる。
「諦めたんですか?」
「なあ。スキルって知ってるか?」
「なんの話ですか?」
「何、たいしたことじゃない。ちょっとした故郷の話。俺達の世界では、一五歳くらいで、ジョブを与えられ、スキルが備わるのが当たり前なんだ。そこから、自分の人生が始まる。俺は吟遊詩人になったわけだけど、楽器をめちゃくちゃ練習した。おかげで、手先が器用になったし、リズム感もよくなった。だけど、詩の才能と歌の才能はなかったらしくてな。でも、まあまあ満足してる」
「なんの話ですか?」
まったく同じ疑問を、ブッシュは、先程の十倍くらいの不快感で言った。
「まあ聞けよ。俺達の運命を変えたのは、スキルだ。ヴァイの持ってる、記憶メモリがなければ、その映像が銀河に流れなければ、リング・リングたちが俺達に会いに来ることもなかったし、星の滅亡を抜けて、こんなところまで来て戦うこともなかっただろう」
「……不運、でしたね」
それは、誰の不運だったのか。ケルシュたちか、それとも、自分か。
「で、俺のスキルなんだよ。俺のスキルは、【行列】。例えば、ガラガラの店に行くだろ? すると、俺はガラガラだから入ったのに、俺のあとに、どんどん行列ができるんだよ。その行列、店が混雑するまでになってさ、そのうち、店主が寄ってくるんだよ。『おまえ、いつまで居座ってるんだ、次のお客さんが入れねえだろう、はやくどけ!』ってね」
「なんの話だ?」
ブッシュは、まったくケルシュの真意がつかめない。
「だから、スキルだよ。ジョブも役に立たなければ、スキルだって役に立たない。追放されるやつが持ってるスキルが、チートで役に立つなんて、そんなことないんだ。でも、あいつのは違う。なにが【にゃんにゃんパラダイス】だ。ネコに囲まれる? それはつまり、『宇宙で一番ラッキーになる』スキルだ。オイ、起きろ!」
なにかやばいものを感じて、ブッシュが居合いを解き、刀を抜く。ケルシュに斬りかかろうとする。
ケルシュは、棒立ちで待っている。
ケルシュに刀を振り下ろそうとしたその背後で、アルトが起き上がる。
なぜかそこに、バナナの皮があったのかもしれない。何もなかったのかもしれない。おそらく、自分で流したヌルヌルの血があっただけなんだろう。
ただとにかく、アルトは、起き上がって、足を滑らせ、ブッシュの背後から。履いていたスラックス二掴みかかり、完全にズリ下ろしてしまう。下半身は、丸出しだ。
「きゃあっ!」
と声を出したのは、ブッシュ自身。ブッシュが、刀を落とす。下半身に気を取られる。
「これ、遊び人の技……もしかして、ラッキースケベ?」
ケルシュが、再び歌を歌う。ブッシュが、両手で両耳を塞ぐ。
ヴァイが、剣を持ち直して、ダンスを踊るように踊り子の舞を踊り、剣を振り回す。
ブッシュの身体に、右脇腹から左肩にかけて、一撃を入れる。血が噴き出す。
「おのれ……」
ブッシュがそれでも、スラックスを持ち上げて、なんとか刀を構えようとする。
全身血だらけになりながら、ヴァイ、アルト、ケルシュが、剣を構える。
三方向から、ブッシュに向かって、剣を振りかざして、振り下ろす。ブッシュは死を確信した。けど、剣は目の前で止まった。寸止め。
「倒したの?」
一五歳のリング・リングの前で、人を殺さなくてもいい。
三人は笑って、
『安心せい! 峰打ちじゃ!』
そう言ってから、ヘトヘトになって、その場にへたり込む。
木下が、リング・リングの元へ行き、磔から介抱する。
リング・リングが、三人のところに寄ってくる。
ところが、ブッシュが諦めきれずに起き上がる。リング・リングを捕まえる。
「王女様!」木下。
「卑怯だぞ!」
なじるアルトもまた、満身創痍だった。
「卑怯だろうとなんだろうと! もう、私は後戻りできないんです! この国のために、全てを捨てるしかないんです!」
その瞬間、爆散していた光子エネルギーが、元に戻った。
保全要員が、必死で復旧作業をしてくれた結果だった。
「エネルギーが……!」
ケルシュが、ハッと気づく。
「ヴァイ!」
言われてヴァイが、力を振り絞る。
「私は今! 王宮の広場に来ています!」
ヴァイが、スキル【記憶】を使って、生配信をはじめる。
広場中の兵士やその他、王宮だけじゃなく、国中で、端末から通知音が聞こえ始めた。
「見てください! これが、正義ですか?」
ヴァイは、生配信を始めたが、実際には、その前から、ずっと、録画だけはしていた。ヴァイのスキルは、光子エネルギーに左右されずに録画はできる。今までの顛末も、全て録画してあった。
しかし、一番効果があるのは、今この瞬間。
「生配信しています。コメント、いっぱい来てますよ」
「え? なに?」
「何が起きてんの?」
「これ王宮?」
「げげげ! まさかの生配信で、えぐくね?」
「これ、垢BANされるだろ」
「いや、これはこの国の歴史そのものの転換点だ。歴史の証人として俺達は見る義務がある」
「いるよねこういうクソさぶいやつwww」
「きゃー! ヴァイ様ー! ヴァイ様、血だらけで死にそう!?」
「タヒねタヒねタヒねタヒね!」
「そもそも国を変えるとか何とか言ったって、俺達別に賛同してねえし」
「はい乙ー。俺関係ねえぇとか今更www」
「ブッシュって、ちびだよね」
「ちびって、終わってるwww」
「はげてなければいい」
「王女可愛い」
「メイド服に包帯とか萌えやん!」
「アルト、そろそろはげるんちゃう?」
「国のため! とか、そもそもクソダサいよね」
「勝手に俺達の大便(注:代弁の意)した気になって欲しくないんだよね」
「俺、お前選んでねーし」
「王様まではともかく、王女様はダメだよ」
「そもそも大義もクソもねえじゃん」
「開国って必要? 私今の生活満足してるんだけど」
「ブッシュにはげる呪いをかけておきました」
「やめろーーーー!」
権力で押さえた王制に、武力で押さえた革命家。反対意見をすりつぶし、自分に都合のいい言葉ばかりを聞く人が、果たして国民の本当の生の声を聞いたとき、心は平穏であれるのだろうか。
ブッシュが、頭を抱える。
「この国は! これ以上、内向きの政治をするわけにはいかないんです! 必要な革命、必要な、政治体制の維新なんです! 誰も分かってくれないんですか!?」
ブッシュは、周り全てに当たり散らす。
アルトが、ブッシュを捕まえて止める。
「あのな。お前が、どれだけ正しくても、俺達には関係ないんだ」
「リング・リングを傷つけることは、許さない」
ケルシュは、本気でキレている。
「この国に住む三億の人々と、たかが小娘の王女と、どっちが大事だと思ってるんですか!」
「王女じゃない。どこにでもいる、食いしん坊で大食らいの、ただの小娘です」
ヴァイが、らしからぬ言い方で、女の子を形容する。
「俺達にとっては、」アルト。
「その小娘が、」ケルシュ。
「大事なんです」ヴァイ。
「小娘じゃないです」
リング・リングが、唇を歪め、心底不満そうにそう言った。
「食いしん坊は否定しないんですね」
にっこり笑顔で微笑んで、木下が、エネルギーが戻ったレーザー銃で、ブッシュを撃つ。その肩を。殺しはしない。
リング・リングが解放される。ついでに、リング・リングが、ブッシュを殴る。二発。
いいストレートだったね。
そして振り返って、リング・リングが、三人を見る。
リング・リングが、タタッと駆け寄ってきて、抱きついた。
木下に。
『そっちかい!』
息もぴったり、勇者が三人、ツッコんだ。
それからしばらく、ギャラチャの音が、鳴り止まなかった。
クチーナ・アルコバレーノ、第十一回、みんなの心に、パイレーツ!
アランと、
ヴィオラでした!
次回が最後の配信です。
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