早くコンロを持ってこい!!

エイル

第1話 友人との楽しみ

 私の仲間内で年に1度必ずやるスーパーイベントがあります。


 それが、バーベキュー大会です。「集まる」という言葉で連想される言葉とは「バーベキュー」この言葉一択なのです。



 集まって肉を食らうという、この非常に分かりやすく素晴らしい大会。


 ここ3、4年休みが合わずに行く事が出来ませんでしたが、なんと今回奇跡で休みが合いまして本当に久々に参戦する事が出来ました!




 やったぁーい!!♪




 この私の仲間内のバーベキュー大会ですが、どうしても私の友人「バーベキュー王キマリ」さんが、仕切ります。



 彼は年間でたった一度だけリーダーの時があります。




 彼はここ何年もの間、バーベキュー王として私達の中で君臨してきました。



 絶妙な肉のチョイスとコンロの用意、そしてサプライズも全てキマリが考えて来てくれますが、彼は一度も外したことがありません。参加する全員を喜ばせていつも颯爽と帰ってきます。




 みんなホックホクで再び人気者のキマリの事を好きになってしまうのです。このままこの勢いで毎年バーベキューに行くと、好きすぎてキマリと結婚してしまいそうです。




 今日のBBQは、私、バーベキュー王キマリ、いとうし、ベア、ベアの妻である紅一点のおネギ、いっしープロ、いっしープロの弟であるイシージの7人です。




 大体集まる時に役割分担で、必要な物を揃えて持って来るのですが、今回の私の役割は、飲み物、野菜、紙皿など小物類です。








A班 ◎キマリ


用意する物:肉 コンロ トング 簡易テーブル








B班 ◎私 いとうし、ベア、おネギ


用意する物:酒 ジュース 炭 野菜 小物








C班 ◎いっしープロ、イシージ


用意する物:タレ




※ ◎は班長


 キマリは一人しかいないので、班長です。



 スーパーいっしーブラザーズの受け持ちはタレだけです。買い物はそこそこに家族水入らずの時間を過ごして貰おうと思います。



 しかしタレを買い忘れると、死活問題です。味がありません。タレは世界一信用できる兄弟に託しました。



 肉の味よりも結局タレの味なのよ。これはバカ舌軍団である我々の名言です。



 ベア一家が車を出してくれるとの事で、私といとうしは待ちました。



私「いやー楽しみだねぇ♪」


いとうし「エイル久々じゃない??」


私「マジで今年は良かったー!!時間が合ってよかったー♪」


いとうし「自前でビール持ってきたん?・・・」


私「そうそう・・・えーっとねぇ・・・・」



 遅刻です。いきなりベア夫妻が遅刻です。なんて出足が悪いのでしょうか。


 友人と言うのは、きっと遅刻をし合う生き物なのです。



 きっと、おネギの化粧待ちだったんでしょう♪




 私の家の近所のスーパーに4人で行きました。



 私は気の利いた事を言おうと思って少しふざけてみました・・・・。





 ・・・・・・・・・・



私「ベアとおネギが付き合い立ての頃だったらさ、おネギー♪今日はバーベキューだねぇ♪楽しみだねぇ♪何食べたい~???♪♪・・・・ってノリノリで言ってたんだろうなー♪♪」




いとうし「はっはっはっはっは!!!(笑)言っとる言っとる!!(笑)」




・・・・・・



・・・・・・



シーーーーン・・・・



ベア「・・・・・・・・・・・・・」



おネギ「・・・・・・・・・・・・・」




 おネギは「ないないないない」と手を横に振ります。



 ベアに関しては無表情・・・・。



 私が持ってきている缶ビールのように夫婦関係はキンキンに冷え切っていました。



 この夫婦は大丈夫でしょうか・・・・。離婚説、もう既に離婚しているんじゃないか説が常に蔓延していますが、このように肌で感じると余計に心配です。大丈夫でしょうか。



 そんな事も含めて私といとうしは腹を抱えてスーパーで笑っていました。チーム内で二極化していました。



 その頃・・・・キマリは・・・・・




ガチャン!!



キマリ「~♪」



 口笛を吹きながら車から我らがスーパーリーダーキマリが降りてきます。気候も良く、ノリノリです。



キマリ「ん?・・・・・・」



 異変に気付きます・・・・・。




キマリ「こ・・・・コンロが無いじゃあねぇか!!!!」

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