宿題を熟成する息子と、それを叱るのではなく諭すお父さん。
お父さんの子供の頃の思い出の「なぜ、そこにあったのか」「ほんとうに牛の骨だったのか」と考えたら怖くなります。
そして、その骨での遊び方の子供にありがちな雑だがやりすぎると「呪われるかもしれない」と怖くなるこの塩梅が経験者しか書けないなぁと思いニヤリとしました。
リアルなんですよね行動原理が。
お父さんの思い出話も面白かったのに、さらにおもしろそうに膨らまして小説を書き上げる息子!その作品も読みたい!
最後にタイトル回収する腕前!
この父にこの子ありなんだなと親子のつながりを最後に持ってくる素晴らしい〆をぜひ体験していただきたい。
展開が変幻自在で、最終的にどうなっていくのだろうと、ぐいぐい引き込まれました。
ストーリーは、ある親子の会話を中心に進みます。
「骨」というテーマで作文を書かねばならないと悩む息子のシンジロウ。そんな息子のために父であるフミオは、自分が体験した「骨」にまつわる不思議な話をすることに。
途中で出てくる内容で「あれ? これってホラーなの?」と、いったん作品詳細ページを開いてジャンルを確認し、「あ、現代ドラマか」と納得してまた読み進めました。
そのように、作中作をうまく使うことで、作文を通してホラー的なものだったり、また別のものだったりを挿入していく。
こうした構成が巧みで、物語に広がりや深みが生まれています。
最終的にこの会話からシンジロウくんの作文はどこへ向かうのか。
ラストの締めの一文も綺麗。「骨のある作品だった」と絶賛したいです。