有名VRMMOにて不遇ジョブに強制的になりましたが、なぜか知っている情報とは全然違うどころか最強かもしれません⁉

夢見夢

チュートリアル

1.プロローグ

 全世界での総人口7億人以上どんな年齢層もプレイしているゲームは?そう聞かれたら誰もが口をそろえて答えるゲームがある。そう、Magical of Arcane【マジカルオブアーケイン】通称、MoA【モア】である。


 人気な理由は結構あるけれど、何と言っても臨場感あふれる戦闘と力以外にも戦略とかが関係してくるところが人気な要因でもある。もちろん、旅行にしたって非日常的でテーマパークみたいな感じでも行けるというのが幅広い年齢層から指示されているところでもあるのだ。


 ではそんな夢みたいなゲームで断トツで人気のない職業は?と聞かれれば、10人中10人が「召喚士」と答えることだろう。


 召喚士とは、自身が1度倒した敵を服従させることで召喚することが可能になる職業である。とされているが、なぜ、効率が悪い、最悪、ハズレとまで言われるのかとすれば、それは、召喚士自体が弱いからだ。召喚士が服従できるのは、自分が倒した敵のみという点である。そう、ラストアタック以外も自身あるいは召喚されたものが攻撃しなければならないのだ。だからこそ、最悪なのだ。1体目を捕まえるということができないのだから。


 じゃあ、なんで、今そんな話をしてるかって?私がその召喚士でトップランカーのランキングに名前が載ってるから。本当に、本当に召喚士なんてハズレ職業でトップランカーになるなんてことは二度としたくない。それくらい、大変だったのだ。ゲームなんだからリセマラすればいいって思うでしょ?それが、できたら私もリセマラして、最強とまではいかなくても人気職くらいには就きたいと思ったわ。リセマラ不可のゲームが世界的大人気ゲームなのは衝撃的だった。正確にはリセマラは可能なのだ、可能ではあるもののかかる金額が数百万するのだ。それがゆえに、ハズレ職業で頑張ってみたのだ。


 なんて、1人物思いにふけってる場合じゃないんだった。


「ソロモンは辺り一帯に結界を、マーリンはアーサーにバフ。ミカエルは聖なる審判【ホーリージャッジメント】の展開、ルシファーは冥府の門開【シャドウゲート・アビス】の解放、アーサーは全力でぶっ放せ」


私の指示のもとバラバラだった全員の動きがまとまり、褐色の男がドーム状に敵を囲む。緑髪の男性が杖を掲げ金髪の男性に対して光が包むように魔法をかけ始める。上空では白い翼を広げ無数の剣を降らせようとしている存在と黒い炎に囲まれ大きな門を携える存在が視認できる。そして、自身の何百倍もの存在に剣を全速力で振りかぶる金髪の男が見える。


「これで、大丈夫なはず。そう、これでいける」


 自身のMPゲージの消費が毎秒100以上減っていくのを見ながらエナドリを全種類混ぜましたって色のドリンクを口に含む。おいしい、おいしくないでいえば、おいしくない。絶対に、目の前のドラゴンを仲間にして、できなかったら、肉を食べて鱗は鍛冶屋に装備品として作ってもらおう。余ったものは全部オークションに出して現実世界のお金の足しにする。そう、絶対に、そうする。でないと、ここまで大変なことをしてきた意味がない。


「このポーション1本で普通の一般家庭なら半年は暮らせる代物なのに……。こんな風に飲む羽目になるなんて」


 そう思いながら3本目に手をかけた。これでクリアできなければ、また1から編成や戦術なんかも考えなおさないといけなくなるから頼むから成功してくれ。神頼みなんかしない。だって、これでクリアができないのであればどんなプレイヤーだろうと厳しいだろうから。


 HPバーのゲージが赤に変更になった。ここで破滅行動をとることは前回の失敗で承知済み。だから、ソロモンの結界で対策をしたのだ。結界の強度は角が多ければ多いほど強度が増強される。ソロモンの結界はほぼ円に見えるが実際は正多角形と呼ばれるもので、辺の数はソロモン自体も知らないって言っていたことからそれくらいすごいものであるとしか認識できていない。

 破滅行動である全体への攻撃のブレスを防ぐことができた。結界自体にヒビが入ったものの外にまであふれ出なかったことによって次の1撃で決める覚悟をもって打ち込むことにしたのだ。


「ミカエル、ルシファー、ぶっ放せ」


 その言葉を合図に空に飛んでいたミカエルとルシファーがそれぞれの魔法をドラゴンに撃ちつける。ミカエルの掲げていた剣がドラゴンの体を無数に傷をつけ、ルシファーが開門させた門からは怨霊があふれ出てドラゴンの体に張り付く。光と闇は相性が悪いが、それがゆえに効果が交互に入っていく。瞬間火力だけをもとめるのならこの方法が現段階で最高の一手になり得ると考えて、使ったのだ。ゲージを5秒以内に減らせなければ、敗北が確定する。そんな一か八かの戦法だけれども、絶対に勝てる確信がある。みるみるゲージが減少していっている。このゲージの減少がこの速度をキープしているのなら、クリアにつながる。どこかで失速すれば負ける。そんな賭けみたいな戦闘ではあれど、大丈夫。きっと、大丈夫だから。


「止まるな。減り続けろ、減り続けろ」


 この時のHPの減少期間は5秒のみ。そのため、なのか基本マルチで倒すことが前提として組まれている。しかし、基本的な最高火力でも残りHPを削りきることは現状としては不可能だと話されている。

 けれど、NPCとして最強とされている人たちが手を貸してくれているのなら話は変わってくるとそう信じているのだ。


 その願いが叶ってなのかギリギリではあったが4.99秒でゲージを削りきれたのだ。


『Congratulation!

あなたは、この世界で初めて古龍を倒しました!

報酬の清算を開始します』


 長かった、このハズレ職業・本来と違う性別で頑張ったその理由?それは……

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