第23話 声

最近、寝ていると男の声が微かに聞こえてくる

この声が聞こえる時は、必ず金縛りになる

目だけは動くが、見える範囲には誰もいない

声は聞き取りづらいが、集中して聞くと

「もう少し…」

と言っているようだ


日に日にその声は近づいてくる

もうはっきりと聞こえる

「あと少し…」

かなり近いのに、姿は見えない


ついに耳元で声が聞こえた

俺は恐怖で気を失ってしまった


次の日の夜

寝たくなかったが、次の日は仕事なので寝ないわけにはいかない

恐怖心を抱えながらベッドに入る


だが、いつも声が聞こえる時間になっても声が聞こえない


いなくなったのか?


安心した瞬間、声が聞こえた

聞こえた声は、俺の口から発していた

俺の意思とは関係なく出た声は俺の声ではなかった


「やっと…はいれた…」


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