第10話 喫煙所
「う〜、飲みすぎたな」
高島は会社の飲み会の帰りだった。
「タバコ吸いたいから、喫煙所寄ってくか」
帰り道の途中にある喫煙所に寄る高島。
「ここの喫煙所、暗い場所にあって夜だと少し怖いよな…」
喫煙所の周りは薄暗く、時間は23時を過ぎていた。
「ん?」
高島は喫煙所の奥に女性が立っている事に気付いた。
『こんな時間にこんな場所で女性が…。
しかもタバコ吸ってないし…』
この喫煙所は、2メートルほどの横長な広さで、その女は1番奥にいた。
髪は腰まで長く、真っ白なコートを着ている。
高島から見て横向きで、ボソボソ独り言を呟いている。
髪が垂れ下がっていて顔は見えない。
『こんな蒸し暑い夜にコートとか…
独り言、言ってるし…』
高島はチラッと女を見て、普通じゃない印象を受けた。
『なんか気持ち悪い女だな…』
そう思った高島に、女の声が聞こえた。
「ここにいろって言ったのに言ったのに言ったのに言ったのに言ったのに言ったのに言ったのに言ったのに言ったのに…」
女は呪文のように呟いている。
背筋がゾッとする高島。
『ヤバいヤツだよ…、早く帰ろう』
タバコを灰皿に捨てた瞬間、高島が女をチラッと見ると
女は目をカッと見開いて高島を見ていた。
その目にゾッとした高島は足早に喫煙所を出た。
『なんだよ、こえーよ!』
高島が早歩きしながら振り返ると、女は喫煙所から出てきていた。
『こえーよこえーよ!』
高島は歩く速度をさらに早めた。
もう一度振り返ると、女も足早に高島の後ろをついてきてる。
『マジかよ!』
高島はさらに速度を上げコンビニに入った。
『このまま家までついてこられたら怖すぎるからな…』
コンビニの本が置いてあるコーナーから、ガラス越しに外を見ていた。
しばらく見ていたが、女が通る事は無かった。
『やり過ごせたのか?』
コンビニを出て、周りを見渡すと女の姿は無かった。
『早く帰ろう!』
周りを気にしながら足早に歩き、自分の住むアパートに着いた。
部屋に入る時も周りを警戒した。
「ふぅ、なんだったんだよ、あの女は…」
部屋に入り安心した高島。
電気をつけた
明かりがついた部屋の中に、さっきの女が立っていた
「おかえり」
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