私が手にしたもの

私は前に失ったものが多いと言う話をしました。

たしかに失ったものは多いです

いや、多すぎます。


この手からポロポロとこぼれ落ちていきました


ポロポロこぼれ落ちるのと同時にナニモノにもなれませんでした。


バリバリ仕事ができるわけでもない。

手に職があるわけじゃない。


あげ出したらキリがないくらい私にはなれなかったもののオンパレードです。


しかし、そんな私が唯一手にした大切な人がいます。



それは我が子です。

私は病気になる前に出産していました。


なので、病気になってから子育てしてきました。



ナニモノにもなれなかった私が何にも変えることができないものを手にできたとしたらそれは我が子がいることです。



私が病気で闘病していると言うと、諦めることが多くて『かわいそう』と言われます。



『かわいそう』と言われることはないと思うんですけど、かわいそうなのかもしれませんね


それが私が子持ちだと言った瞬間…



「病気のくせに子どもまで手に入れてムカつく」



に変わります。



ここは嘘を書く場所ではないので本当のことです。



大概『病気のくせに』の枕詞が付きます。


「健康なのに妊娠することができない」


「そもそもパートナーがいない」



なのに、『病気のくせに』幸せそうにしているな!



と言われたこともあります。



同情されたいわけじゃないので子持ちか聞かれたら答えますし、嘘は言いません。



たしかに『病気のくせに』幸せそうにしているのかもしれません。



私が病気と闘いながら子育てしてきたことがどれほど血の滲むようなものだったのか少しでも想像することができたら



『病気のくせに』の枕詞は付かないと思うんですけどね



前の章でカップスープを飲むと落ち着くと言う話をしました。



我が子はカップスープを『美味しい』と分かち合えるほど大きくなりました。



私が血反吐を吐くような思いや、泥水もたくさん飲みました。



私が血反吐や泥水を飲んでいるのと同じくらい我が子も物心がついた時から母親が『この世からいなくなる』と言う恐怖心と闘ってきました。



この恐怖は我が子にしかわかりません。




知人に「毒親に育てられて、『母親』になることに不安はなかったの?」


と聞かれたことがあります。




私は不思議と不安はなかったです。

私は愛情を知らなかったので、子育ては全て手探りでした。



ほぼ引きこもり状態だった私に外の世界を教えてくれるのは我が子でした。



「学校帰りに花が咲いていたから摘んできたよ」


と、お花を摘んで来てくれることもありました。



「我が子が優しく育ってくれて嬉しい」

と今は亡き友達に話したら


「優しいのは優しく育てたからだよ」



と言われて心から泣いたことは私の一生の想い出です。



私の子育てが正解かなんてわかりません。



でも、私なりに一生懸命育ててきたので不思議と『後悔』はありません。



そんな我が子も3月で高校を卒業します。


私が病気と必死で闘ってこれたのは見守ってくれる家族がいるからです。



私が病気であることに絶望して

「生きてる価値がない」

と言ったことがあります。


そうしたら家族が

「価値は自分たちが見い出すものだから」


と言われて今日も生きています。


世界一稼げないフリーランスは今日も家族に支えられて生きています。



親から虐げられてきた私が見つけた居場所です。


『生きててよかった』って思うことある?と他人から聞かれたこともあります。


私は胸を張って『生きていてよかった』と思っています。


時々挫けそうになって立ち止まって、辺りを見回して焦ったり。


焦って泣いたり、でも私のペースで生きてればいいんだよと言ってくれる家族がいるので


本当に低空飛行ですが生きています。



本当に『病気のくせに』幸せそうにしてむかつくって言葉が当てはまるのかもしれないですけど、私もそれなりに失っています。


病気が寛解しない今は私の小さな手のひらで必死にかき集めた『シアワセ』だけを握りしめて生きていこうと思っています




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