聖女、3人の攻略対象を一刀両断する
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!!
アンヌマリーは私の婚約者だ!
あ、いや、婚約者だが、今宵婚約を破棄するつもりだったのだ。
リリアーテにもそう話して賛成してくれていたであろう」
私に続いて正気を取り戻して声を上げたのはウラヌスであった……まだ混乱しているようではあるが。
「ええ、確かにそう聞いています。
ですから婚約破棄の宣言をどうぞなさってください。
そうすれば私は何の問題もなくアンヌマリー様の元に嫁げますので」
そう冷たく語るリリアーテに、ウラヌスは完全にフリーズしてしまった。
「ちょっ、ちょっと待ってください。
リリアーテ様がウラヌス様の婚約破棄に賛成していたのは、ウラヌス様と婚姻を結ぶためでは無かったのですか?」
「いいえ、私が愛しているのは物心ついた時からアンヌマリー様ただ1人でございます。
それ以外の方と婚姻を結ぼうなどと考えたこともございません」
リリアーテのパーティの頭脳役であったクライ。
彼が上手く話をまとめ上げていて、全員が聞きたかったであろう疑問を口にする。
つまり、お前はウラヌスと結婚するんちゃうんかい!という事であるが、リリアーテはそれをキッパリと否定した。
「俺たちはリリアーテとウラヌス様ならばと思って身を引いたのだ。
だが、最初からリリアーテはウラヌス様はおろか、俺たちの事も何とも思っていなかったということか?」
「お友達としては好いておりますし、仲間としても頼りに思っています。
しかし、私が愛するお方はアンヌマリー様ただ1人でございます。
その点で言えば、皆様のことを好いてはおりますが、アンヌマリー様を乏しめる発言を聞く度に苦々しく思っていたのも事実でございます」
続いて質問をしたのはパーティの火力担当、テゴリアであった。
因みにこの3人がリリアーテの攻略対象キャラである。
そんな彼らに対して友情はあるものの愛情はなく、私の悪口を言っているところは嫌いとはっきり言い切ったリリアーテ……いや、ちょっと待って。
物心ついた頃から愛していた?
私とリリアーテが出会ったのは貴族学校に入学してからで、それまでに接点などない筈である。
まして、聖女と発覚する前のリリアーテは平民。
絶対に接点など……そう思って再びリリアーテの方を見た時であった。
「これを覚えてはいらっしゃいませんか?」
彼女がそう言って懐から取り出した白いハンカチーフ。
そこにはしっかりと我が家の、オニキス家の家紋が刺繍されていたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます