愛してる?

餅月 響子

初告白

 真っ暗な公園に街灯がぼんやりと光っていた。学校終わりに公園で待ち合わせした。


 何を話すのか周りの友達の様子で聞いている。あの人が私を好きだって。

 いざ、告白を受けるとなると、緊張して何を話せば分からなくなる。


 生まれて初めての好意を寄せられた相手。片想いは何度もしてきた。小学校から同級生のかっこいい子や、中学での人気者。両思いになったことは一度だけあったがすぐに別れてしまった。


 友達のアピールで付き合ったようなものだ。本当に好きだったか忘れた。


今回は違う。お互いに素性を知っていて、何となく付き合うんじゃないかというような雰囲気だ。


「あのさ……」

「うん」


 ブランコの周りの柵を椅子代わりに座る。


「あーーー、もう。無理!」

「え、何が」


 頭を抱えて悩み始める。


「好きなんだけど、付き合ってくれますか」

「……はい!」


「いつまで続くか分からないけど、よろしくお願いします」

「こちらこそ!」


 そんな雰囲気で始まった告白。


 ーーーあれから、20年。

 好かれていたはずが立場が逆転する。


「骨の髄まで愛してーーー」

「いや、無理。キモ」


 そう言いながらも彼は嬉しそう。

 チクチク言葉も私には愛の鞭に思える。

 骨の髄ってどうやって愛せばいいのかな。


「ちょ、キモいから」


 ガクガクブルブルと震えて嫌がる。


「ちゅちゅしてー」


 本物じゃない投げキッスのことだ。

 私は急かすと、

 面倒くさそうにちゅちゅと返す。


 コントだと思いながら接してる。

 それが楽しい。


 恋愛っぽい恋愛はとうに終わってるんだ。

 付き合い長いとそうなるな。



【 完 】

 

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