冒険者の女の子が冬は寒いので労働環境の改善を要求する!っていう話
大町凛
第1話
冬の朝。
目を覚ました私は「はあーーー」と息を吐いた。
真っ白い息と、草木の葉に積もった雪に、今年一番の冷え込みを感じた。
「おはよぉ」
「おはようございますっ」
「おはよー!」
「おはよう」
結界で守られたテントからゾロゾロと出てきたメンバーが分担して、夜営の片付けをしたり、朝食を作ったりしていた。
私達は魔王討伐のため、旅をしている勇者ご一行だ。
「今朝は寒いなぁ」
と言いながら熱々のスープをそっと飲む勇者。このパーティーのリーダーはこいつだ。
勇者というだけあって180センチを超える高身長に整った顔立ち。割れた腹筋とムキムキの胸筋が豪華な服の下に隠れている。
「かなり北の方にきたからな。ぷぷ」
「うまいこと言うなあ」
面白くもないダジャレをいって喜びあう剣士と弓士は各々がゴツイ鎧を着込んでいた。
「もっと雪が降ったらいいですよねー、ウフフ」
かわいらしくにこにこ笑う魔法使いはこのパーティーの癒し的存在。黒いフード付きのローブを羽織っている。
そして、私は女戦士。
胸元がセクシーなトップスにショートパンツ、膝下までの編み紐ブーツ。もちろんヘソ出し。唯一の寒さ対策であるマントは全く寒さを防いでくれない。
もう、耐えられない!!
「私は労働環境の改善を要求する!!!」
「は?」
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