第8話 愛するための記憶

壊れゆく人。


伸びた背中も

くわえタバコや新聞紙、私を撫でた手も


萎びて。

折れて花でも摘むように

排泄物を摘んで投げた


見れば見るほど

かつてとの差、

獣じみて痛々しくて。


わたしが泣く。

きょとんとした親がよこす動作とちり紙だけは

未だ昔のまま人のまま。


どうかこのまま。

せめてあの時、あのままの姿なら。


逸らさず毎日向き合えたけど、

今日から別々。

騒ぐ声を背に私は帰る。


親と離れて。

これ以上、素敵な貴方を

消さない、のこす、何より

好きでいたいわ。


施設の敷地を出て1人

家族暮らした家は売る。

綺麗な思い出だけ残したいから

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詩集 希う望み STORY TELLER 月巳(〜202 @Tsukimi8taiyou

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