最低限の物語群

歪 瑞叶

13の回顧録


『フリーマーケット』


フリーマーケットの片隅に二人組の男女。

そして、赤ちゃんの靴、未使用、500円とダンボールに書かれた滲む文字。





『恋』


降り間違えたバス停。

公園で見かけたベンチに座る彼女の横、

ゴミ箱中に見つけた、3本のバラの花束。





『別れ』


二度と履けない水色のスカート。

似合うと褒めてくれた君を思い出してしまうから。今も歪んだままのガードレール。





『望郷』


一年一度のその頃に、あなたの眠る墓へ登る坂より望むセピア色の町は、銀杏の木の葉で琥珀に染まる。




Ⅴ 


『食べる、食べる…食べる』


「捨てるけど、食べる?」と憐れむような目で聞かれて、私は倫理観を捨てた。 

手は汚れてしまったけど、私は満腹になった。





『親友との再会』


昨晩、親友と別れた後で、僕が黒いネクタイを外していると、親友とその未亡人が一緒に歩いているのを見かけた。





『マゾヒズム』


現代の人間、特に男は自虐的なところがある。証拠にみんな紐で自分の首を絞めている。





『廃業』


そりゃあ、昔は繁盛してたが、4年前から閑古鳥が鳴いちまって、昨日までなんとか自転車操業で頑張ってきたが、今となっては御足がない。





『慟哭』


喉が痛かった、呼吸が出来なかった。

叫び声が聞こえた。

あまりに喉が激しく痛むので気づいた。

叫んでいたのは、俺だった……





『犯行』


みんながぼくを取り囲んでいる。

今日はお祝いのはずなのにお母さんの手には汚れた包丁。

それで初めて、切られたと気づいた





『焚いた火』


神様の目玉はよく燃える。

うず高く積み上げられた無数の目が僕を見ている。炎の中から見つめている。




『裕福という椅子取り』


一杯のコーヒーを君は無辺際だと考えるのかい、それとも有限だと考えるのかい?

それが資源に対する考えの根本さ。




LAST


『もしも、あの縄が切れていなければ』








あとがき


いかがでしたか? 

短くとも確かな物語があなたの頭蓋の中で紡がれたと思います

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最低限の物語群 歪 瑞叶 @Hizumi_Mizuha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ