第4話

 階段を降り終えるといつも通り階段は消えた。

「え?消えたの?」

 ユキナは後ろを振り返り驚いていた。ユキナはクスクスと笑うゴブゾをじっと睨む。

「ゴブゾ。何よ?」

「いや、何でもないですよ」

「何かムカつく」

 ユキナは、ゴブゾのケツを蹴る。

「何するんですか!痛いじゃないですか!!」

 ふんとそっぽを向くユキナ。ゴブゾは、首を傾げる。

「マスター。私なんかしましたかねぇ?」

「笑ったからじゃねえ?」

「えー。そんなことですか?。ユキナ。それはすいませんでした!。」

「べ、べつにいいわよ。そこまで怒ってないから」

 ゴブゾは、ペコペコ頭を何度も下げる。ユキナはツンツンしている。この光景。何だろうか笑えてくる。

 改めて鑑定するか。

 

 種族【ゾンビ(兎人族)】

 名前【ユキナ】

 Lv .10


 種族【吸血鬼】

 名前【ゴブゾ】

 Lv .10

 スキル

 【魔物喰らいモンスターイーター


 種族【リッチ】

 名前【 】

 Lv .30

 スキル

 【魂狩りLv .3】

 ・鑑定・剣術

 【不死】

 ・強制復活・魔力感知・熱源感知・眷属召喚・眷属作成・覇気・死の魔術(死を告げる大鎌デスサイズ


「イチャイチャしてないでこの階層の攻略に入るぞ」

 俺は、先に進み始める。

「「イチャイチャしてません!!」」

 息の合う二人は、揉めながらも俺の後を追う。


 ☆


 この階層は、森だった。天上も見えない程生い茂る木々。

「何よこれ!?」

 ユキナは、大声を出した。ユキナの方を見ると通ってきた道が木々で塞がっていた。この森自体がモンスターなのか?。それともゲームでよくある後戻り出来ないギミックなのか。

「マスター。とりあえずは、前を進むしかないようですねぇ。」

「そうだなぁ。敵もいつ来るか。わからないが気負いすぎないで進むぞ」

「わかったわ。」

「マスター。了解です」

 俺たちが進むとすると何がこちらに来ている。俺は、武器を構え戦闘体勢に入る。二人も遅れて戦闘体勢に入った。

 前方から鼻息の荒い人影が現れた。その影は、右手に斧を持ち。薄ピンクの肌。巨漢の身体に豚の顔が乗った人。ファンタジーでよく出てくるオークと呼ばれる化物だった。

「ブヒィ。ブヒィ。」

 オークは敵意を剥き出しにしてドシン、ドシンとその巨体て走ってくる。

 ユキナは、高速でオークに近づき、オークの顔面に蹴りを入れる。

「ブヒィ?」

「嘘。」

 ユキナの渾身の蹴りは、オークには、ダメージが無かったらしい。ユキナは、俺たちの元に戻るとゴブゾが動く。

 凄まじい速さで相手に近づき、太刀を鞘から抜き放ち、敵に斬り付けるが肉が厚く、擦り傷程度のダメージしか、入らない。

 オークは斧を振り上げ、ゴブゾ目掛けて振り下ろす。ギリギリのところで回避するも斧が地面に直撃し衝撃波を生み出す。その衝撃波は、避けられず、ゴブゾは、吹き飛ばされてしまう。

 オークはゆっくりと斧を振り上げてゴブゾに襲いかかる。俺は、ゴブゾに守るためにゴブゾの前へと出た。そのタイミングで振り下ろされた一撃を盾で受けきると盾が壊れ左腕ごと切り落とされた。

「盾が!!」

「マスター!!」

 ゴブゾは、絶望したくらい表情を浮かべるが今は、こいつに集中しないと。

「ゴブゾ!!今は、気にするな。どうにかしてこいつを仕留めるぞ!!」

「はい!」

 ゴブゾは、立ち上がりオークに太刀を向ける。

「私が入ることも忘れないでよねぇ!!」

 オークの後頭部に向かってドロップキックを入れて、オークは、ゆっくりと前のめりで倒れる。俺は、倒れるオークの喉元に刃を突き刺すと同時にその巨体を支えきれず押し綴れてしまった。

「「マスター!!」」

 俺は、その声を聞いて意識を失った。


 ☆


 気づくとユキナの下から見る顔が映った。

 あーこれユキナに膝枕されてるな。太ももの柔らかい感触。良いもんだなぁ。

「ユキナ。おはよう」

 ゆっくりと起き上がり。そう言った。

 ユキナは涙を流し俺に力強く抱きしめる。俺の身体は、ミシミシと音を立てる。

「マスター!!生き返った!」

「ユキナ!痛い!折れるからもっと力緩めて!!」

 慌ててユキナは、離れた。目元は赤くなっていた。

「ごめんなさい。マスター。」

「いいよ。ゴブゾは、どこ行った?」

 ユキナは、呆れた顔をして俺の背後を指差す。

「あの馬鹿ならあそこで豚。焼いて食ってるわよ。」

「え?」

 振り向くと肉を頬を張るゴブゾの姿があった。俺に気づいたらしく肉を食いながら手をブンブンと振るうゴブゾ。

 ・・・あいつ。だいぶ大物だなぁ。

「マスター。これめちゃくちゃ旨いです!」

「あっそうですか。」

 そして、ふかふかと浮く魂が目につき、それを手に取って食べる。豊潤な肉の香り。口元がスッキリとしていて旨い。オークの魂。食いつくすか。

「マスター?何を食べてるですか?」

 ゴブゾは、俺見てそう言った。どう説明しようか。んー。

「魂だなぁ。」

「そうなんですねぇ」

 二人は何処か不思議そうに俺を見ていた。もしかして、魂は、こいつらには、見えてないのか。

「にしてもマスター!次からあんな無茶な戦い方はやめてください!」

「え?はい?」

 ユキナに小一時間程、酷く叱責されました。


 

 ユキナのお説教が終わり俺たちはその場を後にした。

 相変わらず、木、木、木しか見当たらない。方向感覚が狂いそうだ。

 唐突にバンっと音ともに閃光が光り、目を眩まれられた。

 慌てて周りを見渡すと二人の姿はなく。俺しかいなかった。後ろを見ても通路はなくなっていた。

「前に進むしかないなぁ」

 俺は、前に進んだ。

 熱源感知に少し行った先に数体のオークの反応がある。

「避けるか。挑むか。・・・1択だよな。挑むよな。」

 ゆっくりと進み、オークが一体になるのを待ちながら剣に力を込める。

 一体のオークが曲がり角をゆっくりと曲がる。バレないように背後から忍びより力を込めた剣の一撃で首を斬り落とす。巨体から落ちる首。

「ふぅー。斬れた。」

 俺は剣に再度、力を込める。剣は黒いオーラを纏う。

 心を落ち着かせ、残りのオークに挑む。

 急に出てきた俺にオークたちは、焦り大雑把な攻撃をしていく。鈍足なオークたちの攻撃を避け、首を斬り落としていく。

 無我夢中でオークを倒し気づけば辺りは血の海となっていた。

 剣に刃こぼれないか見ると剣は黒く変色していた。

「え?どういうこと?」

 気にしても仕方ないし魂を喰らう。

『スキル【魂狩り】の熟練度が一定値を越え、Lv .3からLv .4になりました。』

「おっ。久しぶりのレベルアップきた!!」

『スキル【魂狩り】がLv .4に上がったことで≪チャージ≫が権能に追加されました。』

「≪チャージ≫。魔力を武器に付与する。・・・なるほど。魔力を込めた一撃を繰り出せるのか。」


 種族【リッチ】

 名前【 】

 Lv .30

 スキル

 【魂狩りLv .3】

 ・鑑定・剣術・チャージ

 【不死】

 ・強制復活・魔力感知・熱源感知・眷属召喚・眷属作成・覇気・死の魔術(死を告げる大鎌デスサイズ


 俺は、先に進む。

 道中のオークを倒し魂を喰らっていくと広い空間が見えた。その空間には、階段を守る赤いオークは、巨大斧を持っていた。・・・他の二人を待つか。

   

 ☆


 一方。ユキナは、というと。

「何!」

 ユキナの視界が戻り辺りを見回す。しかし、そこに二人の姿は、なかった。

 ユキナは、自分の鼻を頼るも近くに二人の匂いはなかった。

「ユキナ。何弱気になってるのよ。」

 ユキナは、自分の頬を叩いて気合いをだす。

 するとドスンドスンと歩く音が聞こえる。ユキナは耳を立て、音がする方角が探る。ユキナは、音がする方へと走り出した。

 ユキナは、オークを見つけ、速度を落とし、背後に忍び寄る。オークが使用していた斧を右手に持ち、静かにジャンプして首を切り落とそうと全力で振るう。

「ブヒィ!!」

 オークの厚い脂肪に防がれたものの斧は首に刺さった。

 オークは、悲鳴を上げ、首に刺さった斧を引き抜こうとするが抜けず、ユキナに襲いかかるがユキナの速さに追い付かない。

 ユキナは、一歩、下がり隙を狙う。

 オークはこのままだと死あるのみ。しかし、ユキナはオークを倒そうと動く。

 オークを持ち前のスピードを活かし翻弄し、背後から首に刺さった斧目掛け渾身の蹴りを入れる。斧はオークの首を切り落とし近くの木に刺さった。オークは、悲鳴すら上げられずその場に倒れる。

 肩で息をするユキナは、耳をピクピクされる。遠くからオークたちの気配を感じる。

「次。行きますか」

 ユキナは、先へと進む。

 遠くでオーク、5体の群れを見つけたユキナは今でにない速度で近づき、そのままの勢いで斧を振り抜き、一体のオークの首を切り落とす。

 周りのオークは何が起こったかわからずパニックに陥る。

「・・・やれる。」

 ユキナは闇に紛れ、オークの隙を伺う。ユキナの瞳が赤く不気味に輝いた。

 一体のオークは、その瞳に気付き、仲間に声をかけようとするがすでに声は出ず、首を動かした衝撃で首は地面に滑り落ちる。

 瞬く間に残りのオークは、悲鳴すら上げられず立ったまま、頭部のない死体となっていた。

 オークの死体を眺め、凛と立つユキナの瞳は、美しく赤く輝くが何処か不気味な雰囲気を漂わせててる。その姿は、暗殺者のようにもみる。


『ゾンビ個体名≪ユキナ≫は、スキル【暗殺者】を取得しました。スキル【暗殺者】の権能に≪瞬光≫が追加されました。』


 ユキナは闇に紛れ、先に進み始めた。


 ☆


 そして、ゴブゾは、ラフな服装で半透明な金髪の青年にやられそうになっている。

 ゴブゾとその青年の周囲には、多くのオークの死体が転がっている。

「おい、おい。まだ、やる気か?。お前さん、ボロボロじゃんか?」

 肩で息をするゴブゾは、太刀を杖代わりにして自分の身体を支えた。

「まだ、生きてます負けていません

 他者から見ても戦える状況ではないほど、ダメージを受けている。だが、ゆっくりと傷は癒えて来ている。

 青年は、両手をポケットに入れてゆっくりとゴブゾに歩き始める。

「なら、殺してやるよ。・・・殺す前にちょっと聞きたいことがあるがいいか?」

 息を整え、ゴブゾは、青年を睨み付ける。

「答える義理はない!!」

「おい!てめぇに拒否権はねぇんだよ!」

 青年は、ゴブゾの腹に蹴りを入れる。痛そうにするゴブゾは、青年を睨み続ける。

「チッ!。いいから答えろ!てめぇの主は、何者んだ!」

「マスターは、マスターだ!!」

「答えになってねぇんだよ!」

 青年は、ゴブゾの襟を掴み、持ち上げ、殴り飛ばす。ゴブゾは、立ち上がり太刀を構える。

「・・・わかった。あいつを問い詰めるか。」

 青年は、頭を掻き、ため息をつく。ゴブゾを凄まじい速さで殴るがゴブゾのカウンターをくらい、腕を斬り落とされるがゴブゾは、力を使い果たしたらしくその場に倒れる。

 青年の斬り落とされた部位からは血が出ておらずしかも斬り落ちたはずの腕は、何処にもなかった。

「霊体の俺を斬るとはな。こいつは、面白い。殺さないで置いとくか。・・・にしてもこいつの主は、確実に魔王の俺と同格だなぁ。いいねぇ。面白くなってきた。早く会いたいぜ。イレギュラー!」

 青年は、高笑いをしながらその姿を消した。

 ゴブゾは、ゆっくりと起き上がり、悔しさからか、木を全力で殴り折る。

「・・・私はまだ弱い。もっと強くならないと」

 ゴブゾは、枯れ枝を集め、火を起こし、オークの死体を捌き始める。

 捌き終わり大量の肉を串に刺し焼き、涙を流しながら喰らう。

 

『スキル魔物喰らいモンスターイーターに≪不屈の精神≫が権能に追加されました。』


 大量の肉を食い終わったゴブゾは、火の始末をして先に進もうとするが前からオークが三体現れた。

「はぁー。早くマスターに会いたいのに。邪魔だなぁ。」

 襲いかかるオーク。振り落とされた斧を片手で受け止めたゴブゾは、オークの顔面を殴る。

「ブヒィ!!ブヒィー!!」

「鬱陶しいですね!!」

 怒るオークを殴り飛ばす。

 オークの仲間たちがゴブゾに殺意を向けた瞬間、鞘から抜かれた太刀によって、斬り殺された。

「・・・ブヒィ。ブ、ブヒィ」

 オークは怯え逃げ出すがゴブゾから逃げられずゴブゾに殺された。

「はぁー。喰うか」

 青年に言わせた「てめぇの主は何者んだ」を思いだし。深いため息を吐く。

「私が知りたいぐらいですよ。マスターは、恐らく神に近い魔王なんでしょうねぇ」

 ゴブゾは、黒いオーラを纏った名も無きリッチを思いだし、恐怖から震えた。

「あの力は、恐らく≪死神の力≫・・・考えても仕方ありませんね。マスターは、私の主ですしマスターを守る剣としてもっと強くならないとですねぇ・・・さてマスターとユキナを探しましょうか」

 ゴブゾは、出会うオークを喰らいながら二人を探し始めた。


 

 続く

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